
胃痛が続いているあなたへ
「胃が痛いけれど、これくらいで病院に行くべきだろうか」「胃カメラは怖いし、もう少し様子を見ようかな」・・・そんな風に迷っていませんか。
胃痛は日常的に起こりやすい症状だからこそ、受診のタイミングが難しいものです。ただ、胃の痛みの裏には、早期発見が重要な疾患が隠れていることもあります。
消化器内科専門医として、これまで多くの患者様の胃の不調を診てきました。その経験から言えるのは、「もっと早く受診していれば」というケースが少なくないということです。
この記事では、胃痛で胃カメラを受けるべきタイミングを、症状の程度や持続期間、随伴症状から判断する目安として詳しくお伝えします。あなたの胃の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。
胃痛で胃カメラを受けるべきタイミングは?〜症状別の受診目安を専門医が解説
すぐに受診すべき胃痛の症状とは
胃痛には、すぐに医療機関を受診すべき緊急性の高い症状があります。以下のような症状がある場合は、夜間や休日でも早めに受診してください。

立っていられないほどの激しい痛み
冷や汗が出るほどの強い痛み、立っていられないような激痛は、緊急性が高いサインです。急性胃炎だけでなく、虫垂炎や膵炎など早急な対応が必要な病気の可能性もあります。
特に、前屈位(前かがみ)や体育座りで痛みが軽減し、嘔吐では軽減しない場合は、膵炎や膵癌の可能性も考えられます。
吐血や血便を伴う場合
吐血がある場合は、胃や食道のどこかで出血が起きている可能性があります。また、便が黒い場合も、胃や十二指腸からの出血が疑われます。
これらの症状は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が進行している可能性があり、放置すると穿孔(胃に穴があく状態)につながることもあります。
発熱や意識障害を伴う症状
38℃以上の発熱や悪寒を伴う場合、意識がもうろうとする場合は、感染症や腹膜炎など重篤な状態に進行している可能性があります。顔色が悪い場合も要注意です。
痛みが時間とともに移動する場合
痛む場所が時間とともに移動する場合は、虫垂炎など他の疾患の可能性があります。また、背中に抜けるような鋭痛がある場合は、膵炎の可能性も考えられます。
近日中に受診すべき胃痛の目安
緊急性は高くないものの、翌日から近日中の医療機関の診療時間内に受診すべき症状もあります。以下のような症状がある方は、早めにご相談ください。
徐々に痛みが強くなっている
最初は軽い痛みだったのに、日を追うごとに痛みが増している場合は、炎症や潰瘍が進行している可能性があります。様子を見ているうちに悪化することもあるため、早めの受診をおすすめします。
長時間みぞおちの痛みが続き繰り返す
みぞおち(心窩部)の痛みが長時間続く場合、繰り返し起こる場合は、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの可能性があります。
特に、食後や空腹時など特定のタイミングで痛みを感じる場合は、疾患のパターンを示している可能性が高いです。胃潰瘍は食後に痛みが出やすく、十二指腸潰瘍は空腹時に痛みが出やすい傾向があります。
発熱、下痢、嘔吐などの症状を併発している
胃痛に加えて、発熱、下痢、嘔吐などの症状がある場合は、急性胃炎やウイルス感染、細菌感染の可能性があります。嘔吐が続き水分が取れない状態は、脱水につながる危険性もあります。

特定の状況で痛みが起こる
ストレスがかかった時だけ痛む、特定の食べ物を食べた後に必ず痛むなど、特定の状況で痛みが起こる場合も、原因を特定するために受診が必要です。
ストレスによる自律神経の乱れは、胃酸の過剰分泌を引き起こし、胃や十二指腸の粘膜にダメージを与えます。また、知覚過敏の状態になると、痛みを強く感じやすくなることもあります。
様子を見ても良い胃痛と注意点
すべての胃痛が緊急性を持つわけではありません。以下のような場合は、まず様子を観察しても良いでしょう。ただし、症状が続く場合や気になる場合は受診をおすすめします。
短時間で良くなる軽い痛み
みぞおちが痛いが短時間で良くなる、痛みが繰り返し起こらない場合は、一時的な胃の負担による可能性が高いです。暴飲暴食や脂っこい食事、アルコールの摂り過ぎなどが原因として考えられます。
様子観察中にできること
受診せずに様子を見る場合は、胃の負担を軽減するために以下のような対処を行いましょう。
- 暴飲・暴食を控えて消化の良いものを食べる
- 飲み物は常温または温かいものに変える
- 辛い食べ物や刺激物を避ける
- アルコールやカフェインを控える
- 楽な姿勢で安静にする
- 患部を温める(熱すぎない温度で)
- 十分な睡眠とストレス管理を心がける
市販薬を使用する際の注意点
市販の胃薬を使用しても、2週間以上症状が続く場合は受診が必要です。また、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニンなど)の長期間服用は、胃の粘膜を傷つけ、胃炎や胃潰瘍の原因になることがあります。
痛み止めを服用した後に胃痛が始まった場合は、薬剤性の胃炎の可能性もあるため、医師に相談してください。
胃痛の原因となる主な疾患
胃痛を引き起こす疾患は多岐にわたります。ここでは、胃カメラ検査で発見できる主な疾患について解説します。
急性胃炎
ストレスによる自律神経の乱れや、暴飲暴食がきっかけとなることが多い疾患です。その他、非ステロイド性消炎鎮痛剤、アニサキス感染、ウイルス感染、細菌感染(ピロリ菌感染も含む)が原因となることがあります。
突然、みぞおちに強い痛みを感じたり、胸焼けや胃の膨満感などの不快感、吐き気・嘔吐などの症状を認めます。ひどくなると吐血や下血を認めることもあります。
慢性胃炎・萎縮性胃炎
長期間にわたり胃の粘膜に炎症が起きている状態です。慢性的に胃に炎症がおこることで、胃の粘膜は薄く脆く萎縮してしまいます。この状態を萎縮性胃炎と呼びます。
慢性胃炎の80~90%はピロリ菌感染症が原因と言われています。胃もたれ、胸焼け、胃痛、吐き気といった症状を認めることがあります。
萎縮性胃炎が進行すると胃がんを発症するリスクが高まるため、定期的に胃カメラ検査を受けることが重要です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
長引く炎症により、胃や十二指腸の粘膜が損傷し、潰瘍やびらんが形成される病気です。主な原因としては、非ステロイド性消炎鎮痛剤の使用や、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が挙げられます。
貧血や下血、吐血、吐き気、嘔吐、胃痛などが典型的な症状です。症状が悪化すると、胃や十二指腸に穴が開くこともあるため、これらの症状が見られた場合は、すぐに医療機関への相談が必要です。
逆流性食道炎
胃の中の酸性の内容物が食道へと逆流し、酸味を伴う不快感や咳、飲み込む際の困難、胸の痛み、そして胃痛といった様々な症状を引き起こす病気です。
加齢が主な要因である一方で、高脂肪の食事、肥満、姿勢の悪さも原因になり得ます。再発しやすいため、消化器内科の専門医に相談し、治療を受けることが推奨されます。
機能性ディスペプシア
胃痛や胃もたれなど、胃に慢性的な不快症状があるにもかかわらず、胃カメラなどの検査で明確な異常が見つからない状態です。腹部膨満感や胃痛、胸焼けなどがみられる場合もあります。
胃がうまく働かない運動機能障害や、胃が胃酸などの刺激に対して敏感に反応する知覚過敏などにより起こります。ピロリ菌の感染や遺伝、ストレスなども原因になります。
胃がん
早期の胃がんは、ほとんど症状がありません。進行すると胃の動きの低下や食物の通過を妨げるなどの影響が出て、胃もたれや胃痛が起こります。
胃がんは早い段階で見つかれば治療の選択肢が広がり、経過も良好になりやすい病気です。しかし、進行するほど治療が大変になるため、定期的な胃カメラ検査が重要です。
ピロリ菌感染と胃痛の関係
ピロリ菌は、胃痛や胃の疾患に深く関わる重要な要因です。ここでは、ピロリ菌と胃痛の関係について詳しく解説します。
ピロリ菌とは
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)は、胃の粘膜に感染する細菌です。通常の細菌は胃に入ると胃酸によって死滅してしまいますが、ピロリ菌はウレアーゼという特殊な酵素を持っています。
この酵素でアンモニアを作り出し、胃酸を中和することで、ピロリ菌は胃の中に棲みつくことができます。ピロリ菌はアンモニアとサイトトキシンという毒素を作り出すことで胃粘膜にダメージを与え、慢性的な炎症をおこします。
ピロリ菌が引き起こす症状
ピロリ菌に感染すると胃粘膜に炎症がおき、胃もたれや胸焼け、吐き気、胃痛などの違和感や症状を認めることがあります。ただし、感染していても症状が出ないこともあり、気づかないまま慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんのリスクを高めるケースもあります。
ピロリ菌と胃がんの関係
炎症が長く続くことで、胃の粘膜は傷つき萎縮します。ピロリ菌が感染することで、胃・十二指腸潰瘍のリスクが高まります。また、胃の粘膜が萎縮すると胃がんのリスクが高まります。
胃・十二指腸潰瘍や胃がんを予防するために、ピロリ菌の除菌治療が効果的です。
ピロリ菌の検査と除菌
胃カメラ検査の際にピロリ菌感染に関してもチェックすることができます。胃カメラ検査でピロリ菌感染に伴う所見を認め、検査でピロリ陽性と判定されましたら、保険診療で除菌治療を受けていただけます。
除菌治療が成功すれば、症状の再発を防ぐことができ、将来の胃がんリスクも大きく低減できます。胃の不快感が継続している方や、家族に胃の病歴がある方は、早めに検査を受けることが重要です。

胃カメラ検査を受けるメリット
胃痛の原因を正確に特定するためには、胃カメラ検査が最も有効な方法です。ここでは、胃カメラ検査を受けるメリットについて解説します。
正確な診断が可能
胃カメラ検査では、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察することができます。小さな炎症から潰瘍、ポリープ、がんまで、幅広い病変を正確に発見できます。
バリウム検査では見つけにくい早期の胃がんや食道がんも、胃カメラ検査なら発見できる可能性が高くなります。
早期発見・早期治療につながる
胃がんは、早い段階で見つかれば治療の選択肢が広がり、経過も良好になりやすい病気です。一方で、進行するほど治療が大変になることがあります。
胃カメラ検査で早期に発見できれば、内視鏡的治療など体への負担が少ない治療法を選択できる可能性が高まります。
ピロリ菌の有無も確認できる
胃カメラ検査では、胃壁の状態を見ることでピロリ菌の有無を確認できます。ピロリ菌が見つかった場合は、除菌治療を行うことで、将来の胃がんリスクを大きく低減できます。
機能性ディスペプシアの診断にも有効
胃カメラ検査で明らかな異常が見つからない場合でも、機能性ディスペプシアと診断することで、適切な治療につながります。専門的な治療により、症状が改善されることが多々あります。
当院の胃カメラ検査の特徴
石川消化器内科・内視鏡クリニックでは、患者様が安心して検査を受けていただけるよう、様々な工夫をしています。
消化器内視鏡専門医による丁寧な検査
日本消化器病学会消化器病専門医、日本内視鏡学会内視鏡専門医の資格を持つ院長が、すべての検査を担当します。豊富な経験と専門知識に基づいた、正確で丁寧な検査を提供しています。
鎮静剤による苦しくない検査
ご希望の方には、鎮静剤を使用した検査を行っています。鎮静剤を使用することで、眠っているような状態で検査を受けていただけるため、苦痛を大幅に軽減できます。
検査後は、リカバリー室でゆっくりと休んでいただけます。各スペースにナースコールを設置し、安心・安全に経過を見ながら休憩が可能です。
高性能な内視鏡システム
小さな病変も見逃さない高性能な内視鏡システム「ELUXEO 7000システム」を導入しています。最新の技術により、より正確な診断が可能です。
プライバシーに配慮した環境
完全個室の前処置室を完備しており、プライバシーに配慮した環境で検査の準備をしていただけます。リラックスして検査を受けていただける空間づくりを心がけています。
土曜日の検査も可能
平日が忙しい方も検査ができるよう、土曜日の検査も行っております(水曜日と日曜日は休診)。お仕事の都合に合わせて、検査日程を調整していただけます。
胃痛を予防するための生活習慣
胃痛を予防するためには、日常生活での心がけが大切です。以下のポイントを参考に、胃に優しい生活を心がけましょう。
食生活の見直し
- 暴飲暴食を避けて、腹八分目を心がける
- 1日3食、規則正しい食事を摂る
- 消化の良いものをよく噛んでゆっくり食べる
- 脂っこい食事を控える
- 辛い食べ物や刺激物を避ける
- アルコールやカフェインを控えめにする
- 炭酸飲料や香辛料の摂り過ぎに注意する
- 極端に熱いもの、冷たいものを避ける
ストレス管理
ストレスは胃の働きを低下させるため、自分なりのストレス対処法を見つけることが大切です。十分な睡眠、適度な運動、趣味の時間を持つなど、心身のリラックスを心がけましょう。
生活習慣の改善
- 過度な飲酒や喫煙を控える
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 十分な睡眠時間を確保する
- 適度な運動を習慣化する
- 姿勢に気をつける(特に食後)
薬の使用に注意
非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニンなど)の長期間服用は、胃粘膜を傷つける原因になります。痛み止めを常用している方は、医師に相談して胃に優しい薬への変更や、胃粘膜保護剤の併用を検討しましょう。
まとめ:胃痛は放置せず早めの受診を
胃痛は日常的に起こりやすい症状だからこそ、「これくらい大丈夫」と放置してしまいがちです。しかし、胃の痛みの裏には、早期発見が重要な疾患が隠れていることもあります。
吐血や血便、立っていられないほどの激痛、発熱や意識障害を伴う場合は、すぐに医療機関を受診してください。徐々に痛みが強くなっている、長時間痛みが続く、繰り返し起こる場合も、早めの受診をおすすめします。
胃カメラ検査は、胃痛の原因を正確に特定し、早期発見・早期治療につなげるための最も有効な方法です。「もっと早く受診していれば」と後悔しないために、気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
石川消化器内科・内視鏡クリニックでは、消化器内視鏡専門医による丁寧で正確な検査を提供しています。鎮静剤を使用した苦しくない検査、プライバシーに配慮した環境、土曜日の検査対応など、患者様が安心して検査を受けていただける体制を整えています。
あなたの胃の健康を守るために、早めの受診と定期的な検査を心がけましょう。
胃痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください
消化器内視鏡専門医による丁寧な検査で、あなたの胃の健康を守ります

著者情報
石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)
経歴
平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院









