大腸ポリープ切除の日帰り治療とは
大腸ポリープは大腸の粘膜に発生する盛り上がりで、多くは良性ですが放置すると一部が大腸がんへと進行する可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
大腸ポリープ切除は、かつては1〜2泊の入院が必要でした。しかし近年の内視鏡技術の進歩により、多くのケースで日帰り治療が可能になっています。
当院では、消化器内科専門医による安全な日帰りポリープ切除を提供しています。鎮静剤を使用した「無痛内視鏡検査」で患者さんの負担を最小限に抑えながら、高度な専門技術で治療を行います。
「大腸ポリープの切除は痛いのでは?」「日帰りで本当に安全なの?」といった不安をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、大腸ポリープ切除の日帰り治療について、その安全性や実際の流れ、メリットなどを詳しく解説します。
大腸ポリープとは?がん化するリスクについて
大腸ポリープとは、大腸の粘膜にできる隆起性の病変です。大きく分けて「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」の2種類があります。
腫瘍性ポリープの代表は「腺腫」と呼ばれるもので、大腸ポリープの8割以上を占めます。この腺腫は、将来的に大腸がんに進展するリスクを持っています。つまり、「がんの芽」とも言えるわけです。
非腫瘍性ポリープには過形成性ポリープや炎症性ポリープなどがありますが、これらは基本的に良性で、がん化する可能性は低いとされています。
大腸ポリープのがん化リスクは、大きさと密接な関係があります。5mm以下の小さなポリープでがんが含まれる可能性は0.6%程度ですが、20mmを超えると35.8%にまで上昇します。
また、ポリープの形状や表面の性状によってもリスクは変わります。平たく広がるタイプや表面が不整なものは、がん化のリスクが高い傾向があります。
便潜血検査で陽性となった方の30〜50%に大腸腺腫が見つかるとも言われています。そのため、便潜血検査で陽性となった場合は、必ず大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。

大腸がんの多くはこのポリープを経て発生するため、ポリープの段階で発見して切除することが、大腸がん予防の最も効果的な方法なのです。
日帰り大腸ポリープ切除の安全性
「大腸ポリープの切除は入院が必要なのでは?」と思われる方も多いでしょう。かつては1〜2泊の入院が一般的でした。これは、切除後の出血や穿孔(腸に穴があくこと)などの合併症に対応するためでした。
しかし、内視鏡技術の進歩や高周波装置の安全性向上により、現在では多くの医療機関で日帰り治療が行われるようになっています。
日帰り治療の安全性を担保する要素として、以下の点が重要です。
- 消化器内科専門医・内視鏡専門医による施術
- 高性能な内視鏡システムと安全性の高い高周波装置の使用
- ポリープの性状や大きさを的確に判断する技術
- 切除後の出血予防処置(クリップによる止血など)
- 術後の適切なフォローアップ体制
当院では、消化器内科専門医である私が全ての診察・検査・治療を担当し、安全性を最優先に考えた治療を提供しています。

ただし、すべてのポリープが日帰りで切除できるわけではありません。大きさが20mmを超えるもの、がんが疑われるもの、平坦型で粘膜下層に入り込んでいるものなどは、入院治療が必要な場合があります。
また、抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用中の方は、出血リスクが高まるため、主治医と相談のうえで服薬調整が必要になることもあります。
日帰り治療の合併症発生率は非常に低く、術後出血は約1%(数百例に1例程度)、穿孔はさらに稀で数千例に1例程度とされています。
どうですか?意外と安全だと感じませんか?
適切な医療機関で、経験豊富な専門医による施術を受ければ、日帰りでも十分安全に大腸ポリープ切除を受けることができるのです。
大腸ポリープ切除の具体的な方法
大腸ポリープの切除方法は、ポリープの大きさや形状によって異なります。主な切除方法には以下のようなものがあります。
ポリペクトミー(ホットポリペクトミー)
茎のあるキノコ状のポリープに対して行われる最も一般的な方法です。スネアと呼ばれる金属の輪をポリープの茎に掛け、高周波電流を流して焼き切ります。
切除と同時に止血効果もあるため、切除直後の出血は少ないというメリットがあります。ただし、熱による組織障害が強くなると、後出血や穿孔のリスクが高まることがあります。
コールドポリペクトミー
近年普及している方法で、高周波電流を使わずにスネアでポリープを締め付けて切除します。熱による組織障害がないため、後出血や穿孔のリスクが非常に低いとされています。
切除直後は出血することがありますが、多くの場合は2〜3分程度で自然に止まります。5〜10mm程度の小さなポリープに適した方法です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
平坦なポリープや大きめのポリープに対して行われる方法です。ポリープの下に生理食塩水などを注入して粘膜を持ち上げ(粘膜下層に液体を注入)、その後スネアで切除します。
粘膜下層に液体を注入することで、筋層との間に空間ができ、穿孔のリスクを低減できます。また、病変を持ち上げることで、より確実に切除することが可能になります。
最近では「underwater法」という水中で病変を切除する方法も増えています。これは腸管内を水で満たした状態で切除を行うもので、より安全に切除できるとされています。
当院では、ポリープの性状や大きさに応じて最適な切除方法を選択しています。特に小さなポリープに対しては、安全性の高いコールドポリペクトミーを積極的に取り入れています。
日帰り大腸ポリープ切除の流れ
日帰りでの大腸ポリープ切除は、基本的に大腸内視鏡検査と同日に行われます。その一般的な流れをご紹介します。
検査前の準備
大腸内視鏡検査を受けるためには、腸内をきれいにする「腸管洗浄」が必要です。前日から食事制限を行い、検査当日は腸管洗浄剤を服用します。
腸管洗浄が不十分だと、ポリープの見落としや安全な切除ができない可能性があるため、この準備は非常に重要です。
検査・治療
検査当日は、まず問診や血圧測定などを行います。その後、鎮静剤を使用した「無痛内視鏡検査」を行います。
鎮静剤により、半分眠ったような状態で検査を受けることができるため、痛みや恐怖をほとんど感じることなく検査を受けることができます。
検査中にポリープが発見された場合、その場で切除を行います。切除にかかる時間は、ポリープの数や大きさにもよりますが、通常20〜30分程度です。
術後の経過観察
治療後は、リカバリールームで1〜2時間程度の経過観察を行います。鎮静剤の効果が切れ、体調に問題がないことを確認できれば帰宅可能です。
切除したポリープは病理検査に提出され、1〜2週間後に結果が出ます。結果については後日の診察で説明します。
日帰り治療とはいえ、あくまでも「手術」です。帰宅後も安静にし、激しい運動や飲酒は1週間程度控えていただきます。
日帰り大腸ポリープ切除のメリット
日帰りでの大腸ポリープ切除には、以下のようなメリットがあります。
- 入院の必要がなく、時間的負担が少ない
- 入院費がかからないため、経済的負担が軽減される
- 自宅で過ごせるためリラックスできる
- 社会生活への影響が最小限に抑えられる
- 検査から治療までワンストップで完結する
特に忙しい方や入院に抵抗がある方にとって、日帰り治療は大きなメリットとなります。
また、大腸ポリープを早期に切除することで、大腸がんの予防につながります。大腸がんは早期発見・早期治療が可能ながんの一つであり、ポリープの段階で切除することで、がんになるリスクを大幅に減らすことができます。
便潜血検査で陽性となった方や、大腸がんの家族歴がある方、40歳以上の方は特に定期的な大腸内視鏡検査をお勧めします。
大腸ポリープ切除後の注意点
大腸ポリープ切除後は、傷口が完全に治癒するまで約3週間かかります。その間は以下の点に注意が必要です。
食事について
術後1週間程度は消化の良い食事を心がけましょう。刺激物や脂っこいもの、アルコールは控えてください。また、水分は普段より多めに摂取することをお勧めします。

運動・入浴について
術当日の運動は厳禁です。翌日からは軽い散歩程度は可能ですが、激しい運動や腹圧がかかる動作(重い物を持つなど)は1週間程度控えましょう。
入浴は翌日からシャワー程度なら可能ですが、湯船につかるのは1週間後からにしましょう。
注意すべき症状
以下のような症状が現れた場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
- 大量の血便(便全体が真っ赤になるような出血)
- 強い腹痛
- 発熱
- 腹部の張り
少量の出血(便に血が混じる程度)は、切除後によく見られる症状で、多くの場合は自然に止まります。心配な場合は医師に相談しましょう。
術後出血のほとんどは切除後2〜3日以内に起こり、1週間を過ぎると出血のリスクは限りなくゼロに近づきます。
まとめ:安心して受けられる日帰り大腸ポリープ切除
大腸ポリープは放置すると一部が大腸がんに進展する可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。現在の内視鏡技術の進歩により、多くのポリープは日帰りで安全に切除することが可能になっています。
日帰り治療のメリットは、入院の必要がなく時間的・経済的負担が少ないことです。また、検査から治療までワンストップで完結するため、患者さんの負担を最小限に抑えることができます。
当院では、消化器内科専門医による安全な日帰りポリープ切除を提供しています。鎮静剤を使用した「無痛内視鏡検査」で患者さんの負担を最小限に抑えながら、高度な専門技術で治療を行います。
大腸ポリープが心配な方、便潜血検査で陽性となった方、大腸がんの家族歴がある方は、ぜひ一度消化器内科専門医にご相談ください。
安全で快適な内視鏡検査と、必要に応じた日帰りポリープ切除で、大腸がんの予防に努めましょう。
詳しい情報や検査のご予約は、石川消化器内科・内視鏡クリニックまでお気軽にお問い合わせください。

著者情報
石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)
経歴
平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院




