内視鏡検査が初めての方へ〜不安を解消する7つの準備と心構え

内視鏡検査を受ける前に知っておきたい基本情報
内視鏡検査と聞くと、多くの方が「痛いのではないか」「苦しいのではないか」と不安を感じます。私が院長を務める石川消化器内科内視鏡クリニックでは、そんな患者さんの声を日々お聞きしています。
内視鏡検査は、食道・胃・十二指腸や大腸の内部を直接観察できる非常に重要な検査です。早期の胃がんや大腸がんの発見に役立つだけでなく、その場でポリープを切除することも可能な、予防医療の要となる検査なのです。

しかし、初めて検査を受ける方にとって、未知の経験への不安は当然のことです。この記事では、消化器内科・内視鏡専門医として、内視鏡検査を初めて受ける方の不安を解消するための7つの準備と心構えについてお伝えします。
1. 検査の種類と目的を理解する
内視鏡検査には主に「上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)」と「下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)」の2種類があります。それぞれの検査の目的と内容を理解しておくことで、心の準備ができます。
胃カメラは食道、胃、十二指腸を観察する検査で、胃炎や逆流性食道炎、胃潰瘍、胃がんなどの早期発見に役立ちます。一方、大腸カメラは大腸全体を観察し、大腸ポリープや大腸がんなどを発見するための検査です。
どちらも細い管の先端にカメラがついた内視鏡を体内に挿入して行います。最新の内視鏡カメラは高精細な画像を映し出すことができ、微細な病変も見逃さない精度を持っています。
あなたはなぜ内視鏡検査を受けることになったのでしょうか?
症状がある方、健康診断で異常を指摘された方、あるいは予防のために検査を受ける方など、目的は様々です。検査の目的を明確に理解しておくことで、検査への前向きな気持ちが生まれます。
胃カメラで分かること
胃カメラでは、食道では逆流性食道炎や食道がん、胃では胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がんなどを発見できます。また、ピロリ菌感染の有無も調べることができます。
特に胃がんは早期発見が重要です。日本人に多い病気ですが、早期に発見できれば内視鏡治療で完治する可能性が高まります。
大腸カメラで分かること
大腸カメラでは、大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、虚血性大腸炎などを発見できます。
大腸ポリープは放置すると大腸がんになる可能性があります。検査中に見つかったポリープはその場で切除できるため、がん予防にもつながる重要な検査です。
2. 検査前の準備を正しく行う
内視鏡検査の成功は、適切な事前準備にかかっています。検査の種類によって準備方法が異なりますので、しっかり理解しておきましょう。

胃カメラの場合、検査前日の夕食後から絶食が必要です。水分は検査当日の2時間前までなら少量摂取可能ですが、牛乳やジュースなどは避けてください。また、常用している薬がある場合は、事前に医師に相談することが重要です。
大腸カメラの準備はもう少し複雑です。検査の2〜3日前から食物繊維の多い食品や種のある食品を避け、検査前日は消化の良い食事を心がけます。そして最も重要なのが腸管洗浄液の服用です。
大腸をきれいに洗浄するために、検査前日の夜や当日の朝に下剤を服用します。下剤の味や量に負担を感じる方もいらっしゃいますが、腸内をしっかり空にすることで、より精度の高い検査が可能になります。
下剤を飲み始めると何度もトイレに行く必要がありますので、検査当日は余裕を持ったスケジュールを組むことをお勧めします。
準備が不十分だと、検査のやり直しが必要になることもあります。医師からの指示をしっかり守りましょう。
胃カメラの前日からの準備
検査前日は通常通りの食事が可能ですが、夕食は21時頃までに済ませましょう。検査当日は朝食を抜き、水分も検査の2時間前までにしておきます。
また、緊張しやすい方は、前日はゆっくり休んで、リラックスした状態で検査に臨むことが大切です。
大腸カメラの前日からの準備
検査前日の夕食は消化の良いものを20時頃までに摂り、就寝前に処方された下剤(錠剤)を服用します。検査当日は食事を控え、指定された時間に腸管洗浄液を飲みます。
脱水を防ぐため、水分はこまめに摂取してください。排便が透明な水様便になるまで洗浄を続けることが重要です。
3. 鎮静剤(麻酔)の選択肢を知る
「内視鏡検査は痛い」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかし、現代の内視鏡検査では、鎮静剤(麻酔)を使用することで、ほとんど苦痛を感じることなく検査を受けることができます。
当院では、半分眠ったような状態で検査を受けられる鎮静剤を積極的に活用しています。鎮静剤を使用すると、検査中の不快感や痛みをほとんど感じることなく、「あっという間に終わった」という体験をしていただけます。

胃カメラの場合、鎮静剤を使用すると喉の反射が抑えられるため、のどの麻酔を省略できることもあります。のどの麻酔が苦手な方には特におすすめです。
大腸カメラでも鎮静剤は有効です。腸の曲がり角を通過する際の痛みや不快感を軽減し、リラックスした状態で検査を受けることができます。
ただし、鎮静剤を使用した場合は、検査後しばらく休憩が必要です。また、車の運転などは控える必要がありますので、公共交通機関を利用するか、ご家族に送迎をお願いすることをお勧めします。
鎮静剤を使うかどうかは患者さんの希望や体調によって選択できます。不安がある方は、事前に医師に相談してください。
鎮静剤のメリットとデメリット
鎮静剤のメリットは、検査中の痛みや不安を大幅に軽減できることです。多くの患者さんが「検査中のことをほとんど覚えていない」と言われます。
一方、デメリットとしては、検査後に車の運転ができないことや、まれにアレルギー反応が起こる可能性があることです。当院では安全に配慮し、鎮静剤使用中は常に血圧や酸素飽和度などのバイタルサインをモニタリングしています。
4. 検査当日の流れを把握する
検査当日の流れを事前に知っておくことで、不安が軽減されます。ここでは、胃カメラと大腸カメラの検査当日の一般的な流れをご説明します。
胃カメラの場合、まず問診と同意書の記入を行います。その後、のどの麻酔(鎮静剤を使用しない場合)や鎮静剤の投与を行い、左側を下にした横向きの姿勢で検査を開始します。
検査自体は通常10〜15分程度で終了します。鎮静剤を使用した場合は、検査後30分〜1時間程度の休憩が必要です。
大腸カメラの場合も同様に問診と同意書の記入から始まります。腸の準備ができていることを確認した後、検査着に着替えて検査室へ移動します。
左側を下にした横向きの姿勢で検査を開始し、内視鏡を肛門から挿入して大腸全体を観察します。検査時間は15〜30分程度ですが、腸の形状によって個人差があります。
検査中にポリープなどが見つかった場合は、その場で切除することもあります。鎮静剤を使用した場合は、検査後40分〜1時間程度の休憩が必要です。
検査結果は基本的にその日のうちに説明を受けることができますが、組織検査を行った場合は結果が出るまで1〜3週間ほどかかります。
検査中のコミュニケーション
鎮静剤を使用しない場合、検査中に不快感や痛みを感じたら、遠慮なく医師に伝えることが大切です。医師は検査の進行速度や空気の量を調整することができます。
当院では、患者さんの不安や苦痛を最小限にするよう心がけています。検査中も常に患者さんの状態に気を配り、声をかけながら進めていきます。
5. 検査後の注意点を理解する
検査が終わった後も、いくつか注意すべき点があります。適切なアフターケアを行うことで、安全に日常生活に戻ることができます。
胃カメラ検査後は、のどの麻酔が完全に切れるまで(約1時間程度)は飲食を控えてください。のどの感覚が麻痺している間に食事をすると、誤嚥の危険があります。
大腸カメラ検査後は、腸内に空気が残っているためおなかが張ることがあります。ガスをしっかり出すことで徐々に楽になります。ポリープ切除を行った場合は、激しい運動や飲酒、刺激物の摂取を1週間程度控える必要があります。
鎮静剤を使用した場合は、その日の車の運転や機械操作、重要な判断や契約行為は避けてください。また、翌日まで飲酒も控えるべきです。
検査後に強い腹痛や出血などの異常を感じた場合は、すぐに医療機関に連絡してください。特にポリープ切除後は、出血のリスクがあるため注意が必要です。
検査結果の受け取り方
検査結果は、基本的にその日のうちに説明を受けることができます。医師からの説明をしっかり聞き、分からないことがあれば質問することが大切です。
組織検査(生検)を行った場合は、結果が出るまで1〜3週間程度かかります。結果説明の予約をして、必ず受診するようにしましょう。
6. 不安を和らげるための心の準備
内視鏡検査への不安は、多くの方が感じるものです。ここでは、そんな不安を和らげるための心の準備についてお伝えします。

まず、信頼できる医療機関を選ぶことが重要です。内視鏡検査の経験が豊富で、患者さんの不安に寄り添ってくれる医師を選びましょう。事前に医療機関のホームページを確認したり、口コミを調べたりすることも役立ちます。
検査前には、不安なことや分からないことを医師やスタッフに質問することをためらわないでください。疑問点を解消することで、心の準備ができます。
検査当日は、深呼吸やリラクゼーション法を試してみるのも良いでしょう。緊張すると体が硬くなり、検査が難しくなることがあります。リラックスすることで、検査がスムーズに進みやすくなります。
過去に内視鏡検査を受けた方の体験談を聞くことも、不安解消に役立ちます。実際の体験に基づいた情報は、想像上の不安を和らげる効果があります。
あなたは一人ではありません。内視鏡検査は多くの方が受ける一般的な検査です。
検査中のリラックス法
検査中は、ゆっくりと鼻から息を吸い、口から吐く深呼吸を心がけましょう。また、検査と関係のない楽しいことを考えたり、好きな場所をイメージしたりすることで、気を紛らわせることができます。
鎮静剤を使用しない場合は、医師の指示に従い、適切なタイミングで息を吐いたり飲み込んだりすることが大切です。医師やスタッフとのコミュニケーションを大切にしましょう。
7. 定期的な検査の重要性を認識する
内視鏡検査は一度受けて終わりではありません。特に40歳を過ぎたら、定期的に受けることをお勧めします。
胃がんや大腸がんは、早期発見できれば治療の選択肢が広がり、治癒率も高くなります。症状が出てからでは、すでに進行している可能性があります。
胃カメラは1〜2年に1回、大腸カメラは3〜5年に1回の受診が一般的ですが、家族歴やリスク要因によって頻度は変わります。医師と相談して、適切な検査間隔を決めましょう。
初回の検査で異常がなかったとしても、年齢とともにリスクは高まります。定期的な検査を習慣にすることで、万が一の場合も早期発見・早期治療が可能になります。
内視鏡検査は、あなたの健康を守るための大切なパートナーです。最初は不安かもしれませんが、一度経験すれば次回からはずっと楽になります。
検査結果の活用法
検査結果は、単に異常の有無を知るだけでなく、生活習慣の改善にも役立てることができます。例えば、胃炎や逆流性食道炎が見つかった場合は、食生活や生活習慣の見直しのきっかけになります。
検査結果を医師としっかり相談し、必要に応じて生活改善や治療を行うことで、より健康な生活を送ることができるでしょう。
まとめ:内視鏡検査を前向きに受け入れるために
内視鏡検査は、消化器の健康を守るために非常に重要な検査です。初めての方にとっては不安が大きいかもしれませんが、適切な準備と心構えがあれば、その不安は大きく軽減できます。
この記事でご紹介した7つのポイント—検査の種類と目的の理解、適切な事前準備、鎮静剤の選択肢、検査当日の流れ、検査後の注意点、心の準備、そして定期的な検査の重要性—を参考に、ぜひ内視鏡検査に前向きに取り組んでいただければと思います。
当院では、患者さん一人ひとりの不安や疑問に丁寧にお応えし、できる限り苦痛の少ない検査を提供できるよう努めています。内視鏡検査に関するご質問やご不安があれば、いつでもご相談ください。
あなたの勇気ある一歩が、健康な未来への大きな投資になります。
詳しい情報や予約については、石川消化器内科内視鏡クリニックのホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。皆様の健康管理を誠心誠意サポートいたします。
著者情報
石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)
経歴
平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院





