内視鏡検査の前日に守るべき注意点~安心して検査を受けるために

内視鏡検査前日の注意点の重要性
内視鏡検査は、食道・胃・十二指腸や大腸の状態を直接観察できる重要な検査です。検査の精度を高め、スムーズに進めるためには、前日からの準備が非常に重要になります。
私が消化器内科医として日々感じるのは、検査前の準備が適切に行われているかどうかで、検査の質が大きく変わるということです。
特に大腸内視鏡検査では、腸内をきれいにしておかないと、小さなポリープや初期のがんを見逃してしまう可能性があります。胃カメラでも、胃の中に食べ物が残っていると、粘膜の状態を正確に観察できません。
検査前日に適切な準備をすることで、より正確な診断が可能になるだけでなく、検査自体の苦痛も軽減できるのです。

どうしても検査に対して不安を感じる方も多いと思います。しかし、適切な準備をすることで、検査当日の負担を大幅に減らすことができます。
胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査前日の注意点
胃カメラ検査を受ける方は、検査の3日前から、お酒や脂質の多い食事はなるべく控えるようにしましょう。これは胃の状態を整え、検査をスムーズに行うための基本的な準備です。
検査前日の食事については、特に夕食が重要になります。夜9時頃までには消化の良い夕食を済ませるようにしてください。
消化の良い食事とは、食物繊維や脂肪分が少なく、炭水化物やたんぱく質中心の食事を指します。具体的には、白米やうどん、食パン、脂身の少ない白身魚や鶏むね肉、豆腐などが適しています。
胃カメラ検査前日に避けるべき食品
検査前日は以下のような食品は避けるようにしましょう:
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
- 繊維質の多い野菜や果物(ごぼう、キャベツ、りんごなど)
- 豆類(納豆、煮豆など)
- きのこ類(しいたけ、しめじなど)
- 海藻類(海苔、わかめなど)
- 脂肪分の多い肉類(ばら肉、ベーコンなど)
- 揚げ物や油っこい料理
- 香辛料の強い食品
これらの食品は消化に時間がかかり、胃の中に残りやすいため、検査の妨げになる可能性があります。

検査前日の夕食後は、水やお茶などの透明な飲み物以外は口にしないようにしましょう。カフェインを含む飲み物は睡眠の妨げになる可能性があるため、夜遅くの摂取は控えた方が良いでしょう。
胃カメラ検査前日の服薬について
普段服用している薬がある場合は、事前に医師に相談することが大切です。特に血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を服用している方は、検査前に休薬が必要な場合があります。
ただし、観察のみの内視鏡検査であれば、基本的には休薬の必要はないケースが多いです。高血圧の薬など、毎日服用が必要な薬については、少量の水で服用しても問題ないことが多いですが、必ず事前に医師の指示を仰いでください。
大腸内視鏡検査前日の注意点
大腸内視鏡検査は、腸内をきれいにしておくことが何よりも重要です。検査の精度を高めるためには、前日の食事選びが大きなカギを握っています。
大腸内視鏡検査の前日は、消化の良い食事を心がけましょう。これにより、腸内に残渣が残りにくくなり、検査当日の下剤の効果も高まります。
大腸内視鏡検査前日に食べても良い食品
前日の食事で摂取しても問題ない食品には、以下のようなものがあります:
- 白米・おかゆ(玄米や雑穀米は避ける)
- うどん・そうめん(そばやラーメンは避ける)
- 食パン(具材の入っていないもの)
- 脂肪の少ない肉(鶏むね肉、赤身の牛肉など)
- 白身魚(たら、ひらめなど)
- 豆腐
- 卵
- じゃがいも
- バナナ(他の果物は避ける)
これらの食品は消化が良く、腸内に残りにくいため、検査前日の食事として適しています。
大腸内視鏡検査前日に避けるべき食品
一方、以下のような食品は避けるべきです:
- 食物繊維の多い野菜(葉物野菜、根菜類など)
- 海藻類(わかめ、のりなど)
- きのこ類
- 豆類(納豆、煮豆など)
- 種のある果物(イチゴ、キウイ、トマトなど)
- 全粒粉パンや玄米
- 脂肪分の多い肉(ばら肉、ベーコンなど)
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
これらの食品は消化されにくく、腸内に残りやすいため、検査の妨げになる可能性があります。
前日の夕食は21時までに済ませるようにし、それ以降は水やお茶などの透明な飲み物のみにしましょう。
大腸内視鏡検査前日の下剤について
医療機関によっては、検査前日の夜に下剤(ラキソベロンなど)を服用するよう指示される場合があります。これは腸内をあらかじめ空にしておくためのものです。
指示された下剤は必ず決められた時間に服用してください。下剤の効果は個人差がありますが、服用後は何度かトイレに行く必要があるため、夜間の外出予定がない時間帯に服用するとよいでしょう。
内視鏡検査前日のアルコールと喫煙について
内視鏡検査の前日は、アルコールの摂取は避けるようにしましょう。アルコールは胃粘膜を刺激し、炎症を起こしやすくするため、検査結果に影響を与える可能性があります。
また、アルコールには利尿作用があり、体内の水分バランスを崩す恐れがあります。特に大腸内視鏡検査前は、下剤の服用により脱水状態になりやすいため、アルコールの摂取は控えた方が良いでしょう。
喫煙についても、検査前日から当日にかけては控えることをお勧めします。喫煙は胃酸の分泌を促進し、胃粘膜を刺激する可能性があります。また、咳込みのリスクが高まり、検査中の安全性に影響することもあります。
どうしても禁煙が難しい方は、少なくとも検査当日の朝は喫煙を控えるようにしましょう。
内視鏡検査前日の服薬について
普段から薬を服用している方は、内視鏡検査を受ける際に注意が必要です。特に以下の薬については、事前に医師に相談することが重要です。
血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)
アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬、ワーファリンやDOACなどの抗凝固薬を服用している方は、検査前に休薬が必要な場合があります。
ただし、これらの薬は重要な病気の治療や予防のために服用していることが多いため、自己判断で中止せず、必ず処方医と内視鏡検査を行う医師に相談してください。
観察のみの内視鏡検査であれば、多くの場合は休薬の必要はありませんが、組織検査(生検)やポリープ切除を行う可能性がある場合は、休薬が必要になることがあります。
糖尿病のお薬
インスリンや経口血糖降下薬を使用している糖尿病患者さんは、検査前の絶食に伴い、薬の用量調整が必要になることがあります。低血糖を防ぐため、検査当日の朝のインスリン注射や内服薬は、医師の指示に従って減量または中止してください。
その他の常用薬
高血圧の薬や心臓の薬など、毎日服用が必要な薬については、通常通り服用しても問題ないことが多いです。少量の水で服用することができます。
ただし、利尿剤については検査当日の朝は服用を控えるよう指示されることがあります。これは検査中のトイレの問題を避けるためです。

内視鏡検査前日の心構えと準備物
内視鏡検査を受ける前日は、精神的な準備も大切です。不安や緊張は誰にでもあるものですが、過度に心配すると検査当日の負担が大きくなってしまいます。
当院では鎮静剤(麻酔)を使用した無痛内視鏡検査を行っており、半分眠ったような状態で検査を受けることができます。多くの患者さんが「思ったより楽だった」と感想を述べられます。
検査前日は、以下のような準備をしておくと安心です:
- 検査当日の持ち物の確認(保険証、診察券、お薬手帳など)
- 検査後の予定を空けておく(特に鎮静剤を使用する場合)
- 楽な服装の準備(締め付けのない服、ベルトのないズボンなど)
- 爪の長さを整える(マニキュアは落としておく)
- アクセサリー類は外しておく
鎮静剤を使用する場合は、検査当日の車の運転ができませんので、公共交通機関の利用や家族の送迎を手配しておくことも重要です。
検査前日の睡眠について
検査前日は、十分な睡眠をとるよう心がけましょう。良質な睡眠は、検査当日の緊張を和らげるのに役立ちます。
寝る前にリラックスできる時間を作り、スマートフォンやパソコンなどの画面を見る時間は控えめにするとよいでしょう。温かい飲み物(カフェインを含まないもの)を飲んだり、軽いストレッチをしたりするのもおすすめです。
内視鏡検査前日に関するよくある質問
内視鏡検査の前日に関して、患者さんからよく質問を受けます。ここでは、そのような質問にお答えします。
前日に食べてはいけないものを食べてしまった場合はどうすればいいですか?
誤って食べてしまった場合でも、パニックにならないでください。少量であれば大きな問題にはならないことが多いです。ただし、大量に摂取した場合や、検査直前に食べてしまった場合は、医療機関に連絡して指示を仰ぐことをお勧めします。
前日の夕食を21時までに終えられない場合はどうすればいいですか?
仕事などの都合で21時までに夕食を済ませることが難しい場合は、可能な限り軽めの食事にし、消化の良いものを選びましょう。また、事前に医療機関に相談しておくことをお勧めします。
検査前日に運動してもいいですか?
軽い運動は問題ありませんが、激しい運動や長時間の運動は避けた方が良いでしょう。特に大腸内視鏡検査前は、下剤の服用により脱水状態になりやすいため、激しい運動は控えることをお勧めします。
前日からの絶食で空腹感が強い場合はどうすればいいですか?
水やお茶などの透明な飲み物は摂取できますので、これらで空腹感を紛らわせましょう。どうしても空腹感が強い場合は、医師に相談してください。
まとめ:安心して内視鏡検査を受けるために
内視鏡検査は、消化器疾患の早期発見・早期治療に非常に重要な検査です。検査の精度を高め、スムーズに進めるためには、前日からの適切な準備が欠かせません。
胃カメラ検査では、検査前日の夕食は消化の良いものを選び、夜9時以降は水やお茶以外は口にしないようにしましょう。大腸内視鏡検査では、前日の食事選びが特に重要で、食物繊維や脂肪分の多い食品は避け、消化の良い食事を心がけてください。
また、アルコールや喫煙は控え、服用中の薬がある場合は事前に医師に相談することが大切です。検査前日は十分な睡眠をとり、精神的にもリラックスできるよう心がけましょう。
当院では、患者さんの不安や負担を軽減するために、鎮静剤を使用した無痛内視鏡検査を提供しています。また、検査に関するご質問やご不安な点があれば、いつでもご相談ください。
適切な準備と心構えで、安心して内視鏡検査を受けていただき、皆さまの健康維持・増進にお役立ていただければ幸いです。
詳しい情報や内視鏡検査のご予約については、石川消化器内科内視鏡クリニックまでお気軽にお問い合わせください。
著者情報
石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)
経歴
平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院





