コラム

2025.12.15

内視鏡検査の再検査、適切な時期と目安を専門医が解説

内視鏡検査を受けたあと、「次はいつ検査を受ければいいのだろう?」と疑問に思われる方は多いのではないでしょうか。

胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査は、消化器疾患の早期発見・早期治療に欠かせない重要な検査です。しかし、適切な検査間隔について明確に理解している方は意外と少ないようです。

実は、検査結果や年齢、家族歴などによって、次回の検査時期は大きく変わってきます。適切なタイミングで再検査を受けることが、あなたの健康を守る鍵となるのです。

この記事では、消化器内視鏡専門医の立場から、胃カメラ・大腸カメラの適切な再検査の時期や間隔について、わかりやすく解説します。

 

 

 

 

 

 

内視鏡検査の再検査が必要な理由

まず、なぜ定期的な内視鏡検査が重要なのかを理解しておきましょう。

消化器疾患、特に胃がんや大腸がんは、日本人の死亡原因として上位を占めています。しかし、早期に発見できれば治療効果は飛躍的に高まります。

内視鏡検査は、目に見えない消化管内部の状態を直接観察できる唯一の方法です。わずか数ミリの小さな病変も発見できるため、がんの早期発見に非常に有効な検査方法となっています。

また、ポリープなどの前がん病変を見つけて切除することで、がんになる前に予防することも可能です。これが「定期的な再検査」が推奨される最大の理由です。

検査で「異常なし」と言われたとしても、新たな病変が発生する可能性はあります。特に年齢を重ねるにつれて、消化器疾患のリスクは高まっていきます。

胃カメラ検査の意義

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。

この検査により、胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、そして早期の食道がんや胃がんなどを発見することができます。

特に日本人は胃がんの発症率が高く、世界的に見ても胃がん大国と言われています。定期的な胃カメラ検査は、胃がんの早期発見・早期治療に大きく貢献しています。

大腸カメラ検査の意義

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、大腸全体の粘膜を観察する検査です。

大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患、虚血性腸炎などの発見に役立ちます。

大腸がんは近年増加傾向にあり、早期発見が非常に重要です。大腸ポリープは時間をかけてがん化することが知られており、定期的な検査でポリープを発見・切除することで、大腸がんの予防につながります。

胃カメラ(上部消化管内視鏡)の適切な再検査間隔

胃カメラの再検査の時期は、前回の検査結果や個人のリスク因子によって異なります。

検査結果が「異常なし」であっても、定期的な検査は重要です。年齢や家族歴、ピロリ菌感染の有無などによって、適切な間隔は変わってきます。

健康な方の場合(異常なし)

特に症状がなく、前回の検査で異常が見つからなかった健康な方の場合、一般的には2年に1回程度の検査が目安となります。

ただし、40歳未満の若年層で特にリスク因子がない場合は、3〜5年に1回でも良いでしょう。

50歳以上になると、胃がんのリスクが高まるため、より定期的な検査(1〜2年に1回)をお勧めします。

ピロリ菌感染歴がある方の場合

ピロリ菌は胃がんの発生リスクを約5倍高めることが報告されています。

ピロリ菌に感染している方、または過去に感染していて除菌治療を受けた方は、1年に1回の胃カメラ検査が推奨されます。

除菌治療後も胃がんのリスクは完全には消えないため、定期的な検査が重要です。特に萎縮性胃炎がある方は、胃がんのリスクが高いため、より慎重なフォローアップが必要です。

胃炎・潰瘍・ポリープなどが見つかった場合

慢性胃炎、胃潰瘍、胃ポリープなどが見つかった場合は、状態によって6ヶ月〜1年の間隔での再検査が推奨されます。

特に萎縮性胃炎や腸上皮化生(胃の粘膜が腸に似た状態に変化すること)がある方は、胃がんのリスクが高いため、1年に1回の定期検査が必要です。

胃ポリープの種類や大きさによっても再検査の間隔は変わります。腺腫性ポリープなど、がん化リスクの高いポリープが見つかった場合は、より短い間隔での再検査が必要です。

大腸カメラ(下部消化管内視鏡)の適切な再検査間隔

大腸カメラの再検査間隔も、前回の検査結果や個人のリスク因子によって大きく異なります。

大腸ポリープは、時間をかけて大腸がんに進展する可能性があるため、適切な間隔での再検査が重要です。

異常なしだった場合

前回の大腸カメラ検査で異常が見つからなかった場合、一般的には以下の間隔が推奨されます。

45歳未満で大腸がんの家族歴がない方は、5〜10年後の再検査が目安となります。

45歳以上の方は、大腸がんのリスクが高まるため、5年ごとの検査が推奨されます。

大腸がんの家族歴がある方は、より短い間隔(3〜5年)での検査が必要です。

ポリープを切除した場合

大腸ポリープを切除した場合、ポリープの種類・大きさ・数によって再検査の間隔が決まります。

小さな(10mm未満)良性ポリープが1〜2個だけだった場合は、3〜5年後の再検査が一般的です。

大きなポリープ(10mm以上)や多数(3個以上)のポリープ、または腺腫性ポリープ(がんの前段階)が見つかった場合は、1〜3年後の再検査が推奨されます。

特に高リスクと判断された場合(絨毛状構造を持つポリープや高度異型のポリープなど)は、6ヶ月〜1年以内の再検査が必要になることもあります。

大腸ポリープは体質・生活習慣・年齢などの影響で繰り返しできる傾向があり、特に切除後3年以内に新しいポリープが発見される確率は20〜40%とされています。定期的な再検査で早期発見・再切除することが大腸がん予防につながります。

炎症性腸疾患がある場合

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患がある方は、がんのリスクが高まるため、より頻繁な検査が必要です。

一般的には、疾患の活動性や罹患期間によって異なりますが、1〜2年ごとの定期検査が推奨されています。

長期間(8年以上)炎症性腸疾患に罹患している方は、大腸がんのリスクが特に高まるため、より短い間隔での検査が必要です。

再検査の時期を決める重要な要素

内視鏡検査の再検査時期を決める際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。

年齢と性別

年齢が上がるにつれて、消化器がんのリスクは高まります。特に50歳を超えると、胃がんや大腸がんの発生率が上昇します。

性別によっても、リスクは異なります。例えば、胃がんは男性に多く、大腸がんは性差が少ないとされています。

高齢になるほど、より頻繁な検査が推奨されますが、同時に患者さんの全身状態や余命も考慮する必要があります。

家族歴と遺伝的要因

胃がんや大腸がんの家族歴がある方は、そうでない方に比べてリスクが高くなります。

特に、第一度近親者(親・兄弟姉妹・子)に胃がんや大腸がんの罹患者がいる場合は、より短い間隔での検査が推奨されます。

家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの遺伝性疾患がある場合は、専門医と相談の上、より頻繁な検査スケジュールを組む必要があります。

生活習慣と環境要因

喫煙、過度の飲酒、塩分の多い食事、肥満などは、消化器がんのリスクを高める生活習慣です。

これらのリスク因子を持つ方は、より頻繁な検査が推奨されることがあります。

逆に、生活習慣の改善(禁煙、適正飲酒、バランスの良い食事など)によって、リスクを下げることも可能です。

内視鏡検査の再検査を受ける際の注意点

内視鏡検査の再検査を受ける際には、いくつかの重要な注意点があります。

前回の検査結果を持参する

可能であれば、前回の検査結果(検査レポートや画像)を持参しましょう。

特に別の医療機関で検査を受ける場合は、前回の結果があると、医師が比較検討できるため、より正確な診断が可能になります。

当院では、過去の検査データを電子カルテで管理しているため、当院で検査を受けられた方は、前回との比較が容易です。

検査前の準備を正しく行う

胃カメラ検査の場合は、検査前の絶食(通常6〜8時間)が必要です。

大腸カメラ検査の場合は、前日からの食事制限と下剤の服用が必要です。検査の精度を高めるためにも、医師の指示に従って正しく準備を行いましょう。

当院では、大腸カメラ検査の際には、下剤の飲み方や前日の食事について詳しく説明しています。準備が不十分だと、検査の精度が下がったり、再検査が必要になったりすることもあります。

定期検査を継続する重要性

「前回異常がなかったから」と安心して検査を怠ると、病変を見逃すリスクが高まります。

特に、ポリープを切除した方は、新たなポリープができる可能性が高いため、定期的な検査が重要です。

定期検査は「切除して終わり」ではなく「継続的な管理」が未来の健康を守る鍵となります。

当院での内視鏡検査の特徴

石川消化器内科内視鏡クリニックでは、患者さんの負担を最小限に抑えた内視鏡検査を提供しています。

無痛内視鏡検査

当院では、鎮静剤(麻酔)を使用した無痛内視鏡検査を行っています。半分眠ったような状態で検査を受けられるため、痛みや恐怖感をほとんど感じることなく検査を受けていただけます。

「以前の検査が辛かった」という方も、当院の無痛内視鏡検査であれば、リラックスして受けていただくことが可能です。

経口・経鼻どちらの胃カメラも選択可能で、患者さんの状態や希望に合わせた検査方法をご提案しています。

高性能な内視鏡機器

当院では、最新の拡大内視鏡を導入しており、微細な病変も見逃さない高精度な検査が可能です。

特殊な光を用いることで、通常の内視鏡では見えにくい早期がんやポリープも発見しやすくなっています。

大学病院に劣らない内視鏡検査環境を整えており、早期発見・早期治療に貢献しています。

当日検査・土曜検査にも対応

当院では、初診当日の検査や土曜日の検査にも対応しています。

平日は忙しくて時間が取れない方でも、土曜日に検査を受けることが可能です。

また、検査後の待ち時間短縮にも取り組んでおり、患者さんの負担を軽減しています。

まとめ:適切な再検査で健康を守る

内視鏡検査の再検査時期は、前回の検査結果や個人のリスク因子によって異なります。一般的な目安としては、以下のようになります。

胃カメラ検査:健康な方は2年に1回、ピロリ菌感染歴がある方は1年に1回、胃炎・潰瘍・ポリープがある方は6ヶ月〜1年に1回

大腸カメラ検査:異常なしの場合は5年に1回(45歳以上)、ポリープ切除後は1〜5年に1回(ポリープの種類・大きさ・数による)、炎症性腸疾患がある方は1〜2年に1回

定期的な内視鏡検査は、消化器がんの早期発見・早期治療に非常に重要です。「症状がないから大丈夫」と安心せず、適切な間隔で検査を受けることをお勧めします。

当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた検査間隔をご提案しています。検査後には、次回の適切な検査時期についても詳しくご説明いたします。

内視鏡検査に関するご不安やご質問がありましたら、お気軽に当院までご相談ください。患者さんの健康を守るため、最適な検査計画をご提案いたします。

詳しくは石川消化器内科内視鏡クリニックのホームページをご覧ください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

著者情報

石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)

経歴

平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院

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