コラム

2025.12.15

大腸カメラの痛みを軽減する7つの対策〜専門医が解説

大腸カメラ検査の痛みはなぜ起こる?その仕組みを理解しよう

大腸カメラ検査(正式には下部消化管内視鏡検査)は、大腸がんやポリープの早期発見に非常に有効な検査です。しかし、「痛い」「苦しい」というイメージから検査を躊躇される方も少なくありません。

実際、大腸カメラ検査では個人差はあるものの、痛みを感じる方が多いのは事実です。この痛みはどのようなメカニズムで生じるのでしょうか?

大腸カメラ検査で生じる痛みには主に2つのタイプがあります。「腸が押されるような痛み」と「お腹が張るような痛み」です。

大腸は曲がりくねった形状をしているため、内視鏡を奥まで挿入する際には、腸を押したり引っ張ったりする必要があります。この物理的な刺激が腸を押されるような痛みを引き起こします。

また、検査中には進行方向を確認したり、腸のひだの裏まで観察したりするために、腸に空気や炭酸ガスを入れて膨らませます。これがお腹が張ったような痛みの原因となるのです。

 

 

 

 

 

 

痛みが出やすい人の特徴とは?自分のリスクを知ろう

大腸カメラ検査の痛みの感じ方には個人差があります。中には「思ったより全然痛くなかった」という方もいれば、「冷や汗が出るほど痛かった」という方もいらっしゃいます。

では、どのような方が痛みを感じやすいのでしょうか?

  • ・お腹の手術経験がある方:腸の癒着があると、内視鏡の挿入が難しくなります
  • ・やせ型・小柄な体型の方:腸管が細く、スコープの通過が困難な場合があります
  • ・肥満体型の方:腸管が動きやすく、スコープ操作が難しくなることがあります
  • ・腸に炎症がある方:潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がある場合、痛みを感じやすくなります
  • ・便秘や下痢を繰り返している方:腸の状態が不安定で、刺激に敏感になっている可能性があります

一方、痛みを感じにくい傾向がある方もいます。特に中肉中背の男性(青年〜中年層)では、スコープの挿入が比較的スムーズで、痛みを感じにくい傾向があるようです。

ただし、これらはあくまで傾向であり、個人差が大きいことを覚えておきましょう。

また、痛みが発生しやすい部位も決まっています。特にS状結腸や横行結腸は腹膜に固定されておらず自由に動くため、スコープによる押し込みで腸が伸びやすく痛みが出やすい傾向があります。

さらに、脾弯曲(ひわんきょく)や肝弯曲といった腸の曲がりが急な部分では、スコープが引っかかりやすく、腸管が刺激されやすいため痛みを感じやすくなります。

大腸カメラの痛みを軽減する7つの対策

「大腸カメラは痛いから受けたくない」と思われる方も多いかもしれませんが、大腸がんの早期発見・早期治療のためには非常に重要な検査です。痛みを軽減するための対策をご紹介します。

1. 鎮静剤(麻酔)を使用した無痛検査を選ぶ

現在は鎮静剤(麻酔)を使用した「無痛検査」が一般的になってきています。鎮静剤を使うと、ウトウトと眠っているような「うたた寝状態」で検査を受けることができ、痛みや恐怖感をほとんど感じません。

当院では、患者さんの状態に合わせて適切な量の鎮静剤を使用し、安全かつ快適な検査を心がけています。検査後は「あっという間に終わった」という感想をいただくことが多いです。

2. 経験豊富な内視鏡専門医を選ぶ

大腸カメラ検査の痛みの有無は、施術を行う医師の技術に大きく左右されます。熟練の内視鏡医であれば、腸管の動きや形に応じた繊細な操作が可能となり、痛みを最小限に抑えることができます。

内視鏡専門医の資格を持つ医師や、過去に数千例以上の検査経験がある医師を選ぶことで、より快適な検査を受けられる可能性が高まります。

3. 炭酸ガス送気を使用した検査を選ぶ

従来の大腸カメラ検査では、腸を膨らませるために空気を使用していましたが、最近では炭酸ガスを使用する医療機関が増えています。炭酸ガスは空気よりも吸収されやすいため、検査後のお腹の張りや痛みが軽減されます。

当院では、患者さんの負担を減らすために炭酸ガス送気を導入し、検査後の不快感を最小限に抑える工夫をしています。

4. 軸保持短縮法による挿入技術

「軸保持短縮法」とは、大腸の形状に合わせてスコープを操作する技術で、腸を無理に伸ばさずに挿入することができます。この技術を習得した医師による検査では、痛みが大幅に軽減されることが多いです。

当院の医師は軸保持短縮法を含む様々な内視鏡挿入技術を習得しており、患者さん一人ひとりの腸の形状に合わせた最適な方法で検査を行っています。

5. 検査前の腸内環境を整える

検査前の腸内環境を整えることも、痛みの軽減に役立ちます。具体的には以下のような点に注意しましょう。

  • ・適切な下剤の服用:医師の指示通りに下剤を服用し、腸内をきれいにしておくことで、検査がスムーズに進みます
  • ・検査前日の食事管理:消化の良い食事を心がけ、食物繊維の多い食品は避けましょう
  • ・水分摂取:下剤服用時には十分な水分を摂ることで、腸の洗浄効果が高まります
6. リラックスして検査に臨む

緊張や不安は筋肉を硬くし、痛みを増強させることがあります。検査前にリラックスする工夫をしましょう。

深呼吸やリラクゼーション法を試してみたり、検査中は医師の指示に従って呼吸を整えたりすることで、痛みを感じにくくなることがあります。

当院では、患者さんがリラックスして検査を受けられるよう、検査前の丁寧な説明や、検査中の声かけを大切にしています。

7. ウォーターイクスチェンジ法を活用する

「ウォーターイクスチェンジ・コロノスコピー(WEC)」という方法も、痛みを軽減するのに効果的です。これは空気の代わりに水を使って腸を拡張させる方法で、腸への負担が少なく、痛みを軽減できることが報告されています。

この方法を取り入れている医療機関もありますので、検査予約時に確認してみるとよいでしょう。

大腸カメラ検査を受ける際の心構えと準備

大腸カメラ検査をより快適に受けるためには、適切な心構えと準備が大切です。ここでは、検査前の準備から検査当日の流れまでをご説明します。

検査前日からの準備

大腸カメラ検査の成功の鍵は、腸内をきれいに洗浄することです。医師の指示に従って、以下の準備を行いましょう。

  • ・食事制限:検査前日は消化の良い食事を心がけ、食物繊維の多い食品や種のある食品は避けましょう
  • ・下剤の服用:医師から処方された下剤を指示通りに服用します。通常、検査前日の夕方と検査当日の朝に服用することが多いです
  • ・水分摂取:下剤服用時には十分な水分(1.5〜2リットル程度)を摂ることで、腸の洗浄効果が高まります

下剤の効果は個人差がありますが、透明な水様便が出るようになれば腸の洗浄は十分です。下剤の効果が弱い場合は、追加で服用することもあります。

検査当日の流れ

検査当日は、以下のような流れで進みます。

  • ・受付・問診:既往歴や服薬中の薬などを確認します
  • ・着替え:検査用の着衣に着替えます
  • 鎮静剤の投与:無痛検査を選択した場合、点滴から鎮静剤を投与します
  • ・検査開始:左側を下にした横向きの姿勢で、肛門から内視鏡を挿入します
  • ・検査終了:通常、検査時間は15〜30分程度です
  • ・回復・休憩:鎮静剤を使用した場合は、30分〜1時間程度の休憩が必要です
  • ・結果説明:検査結果の説明を受けます

鎮静剤を使用した場合は、当日の車の運転や重要な判断を要する業務は避けるようにしましょう。また、検査後は腸内にガスが残っていることがあるため、ガスを出すことを我慢しないようにしましょう。

大腸カメラ検査を受けるべき理由と重要性

大腸カメラ検査は痛みや不快感を伴うことがありますが、それでも受けるべき重要な理由があります。特に40歳を過ぎたら、一度は大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。

大腸がんの早期発見・早期治療のために

日本では、大腸がんは年々増加傾向にあり、女性のがん死亡原因の第1位、男性でも第3位となっています。2023年のデータでは、大腸がんによる死亡者数は約5万3千人にのぼり、肺がん(約7万6千人)に次いで多くなっています。

また、日本の大腸がん死亡率は世界第4位と高く、先進国の中でも深刻な状況です。この背景には、大腸がん検診受診率の低さがあります。日本の大腸がん検診受診率は約45%と、先進国の中でも低い水準にあります。

大腸がんは初期の段階では自覚症状がほとんどなく、症状が出てからでは進行しているケースが多いため、「予防・早期発見・早期治療」が命を守る鍵となります。

大腸ポリープの発見と切除

多くの大腸がんは、良性のポリープが時間をかけて癌化することで発生します。大腸カメラ検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除することが可能であり、癌化する前に取り除くことで大腸がんの発生を予防できます。

アメリカからの報告では、大腸内視鏡を行って大腸ポリープ(腺腫)をすべて切除することで、大腸がんによる死亡率が53%低下したという結果が出ています。

早期に発見されれば、より身体への負担の少ない内視鏡手術で根治する可能性が高まります。進行した(他臓器に転移した)大腸がんの治療成績は、最新の医療をもってしても決して良くはありません。

当院の無痛大腸カメラ検査のご案内

石川消化器内科内視鏡クリニックでは、患者さんの負担を最小限に抑えた無痛大腸カメラ検査を提供しています。

当院の無痛内視鏡検査の特徴
  • ・鎮静剤(麻酔)を使用:半分眠ったような状態で、ほとんど苦痛・恐怖感なく検査を受けていただけます
  • ・消化器・内視鏡専門医による検査:院長の私(石川)が全ての診察、検査、検査結果説明までを担当します
  • ・高性能な拡大内視鏡を導入:大学病院に劣らない高精度な検査が可能です
  • ・炭酸ガス送気を使用:検査後のお腹の張りや痛みを軽減します
  • ・初診当日・土曜日の検査にも対応:お忙しい方でも受けやすい環境を整えています
  • ・大腸ポリープ切除にも対応:ポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です

「辛い・苦しい」というイメージがある内視鏡検査を「より気軽に」「よりスピーディーに」そして安心して受けられるよう、様々な工夫を行っています。

検査の予約・お問い合わせ

大腸カメラ検査のご予約やお問い合わせは、お電話またはWEB予約にて承っております。些細なことでもお気軽にご相談ください。

TEL:06-6930-1700

大腸がんは早期発見・早期治療が何よりも重要です。痛みへの不安から検査を躊躇されている方も、ぜひ一度当院の無痛検査をご検討ください。あなたの健康と命を守るために、私たちがサポートいたします。

まとめ:大腸カメラの痛みを軽減して健康を守ろう

大腸カメラ検査は、大腸がんの早期発見・早期治療のために非常に重要な検査です。痛みや不快感への不安から検査を避けてしまうと、早期発見の機会を逃してしまう可能性があります。

本記事でご紹介した7つの対策を参考に、より快適に検査を受けていただければ幸いです。

  • ・鎮静剤(麻酔)を使用した無痛検査を選ぶ
  • ・経験豊富な内視鏡専門医を選ぶ
  • ・炭酸ガス送気を使用した検査を選ぶ
  • ・軸保持短縮法による挿入技術を活用する
  • ・検査前の腸内環境を整える
  • ・リラックスして検査に臨む
  • ・ウォーターイクスチェンジ法を活用する

当院では、患者さん一人ひとりに合わせた最適な検査方法をご提案し、安心して検査を受けていただける環境を整えています。大腸カメラ検査に関するご不安やご質問がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

あなたとご家族の健康を守るために、定期的な検査をお勧めします。早期発見・早期治療が、健やかな毎日を支える第一歩です。

石川消化器内科内視鏡クリニックでは、無痛での内視鏡検査を提供しています。詳しくは当院ウェブサイトをご覧いただくか、お電話にてお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

著者情報

石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)

経歴

平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院

 

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