コラム

2026.02.08

胃カメラの結果「異常なし」でも症状が続くときの次の一手|追加検査と受診タイミング

胃カメラ検査を受けて「異常なし」と言われたのに、胃もたれや胸やけ、みぞおちの痛みが続いている・・・

そんな経験はありませんか?

検査で異常が見つからないと、「気のせい」と思われがちですが、決してそうではありません。胃カメラで映らない疾患や、胃の機能的な問題が隠れている可能性があります。

消化器内科医として多くの患者様を診てきた経験から、「異常なし」と言われた後も症状が続く場合、次に何をすべきか、どのタイミングで受診すべきかを丁寧に解説します。

胃カメラで「異常なし」と言われる理由

胃カメラ検査は、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する有用な検査です。

逆流性食道炎、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、食道がんなど、粘膜に明らかな変化がある疾患を診断できます。

しかし、胃カメラはあくまで「構造(形)に異常があるか」を確認する検査です。

つまり、粘膜に傷や腫瘍、明らかな炎症がなければ、「異常なし」と判定されます。

ここに落とし穴があります。胃の「動き」や「知覚」の異常は、胃カメラでは映らないのです。

胃カメラでわかること・わからないこと

胃カメラでわかることは、粘膜の状態です。炎症、潰瘍、ポリープ、がんなど、目に見える変化を捉えます。

胃カメラでわからないことは、胃の運動機能や知覚の異常です。胃の動きが悪い、胃酸に過敏になっている、といった機能的な問題は画像では判断できません。

また、胃以外の臓器(胆のう、膵臓、心臓など)が原因で胃の症状が出ている場合も、胃カメラだけでは見つかりません。

「異常なし」でも症状が続く原因

胃カメラで異常が見つからないのに症状が続く場合、いくつかの可能性が考えられます。

機能性ディスペプシア(FD)

多くの場合、「機能性ディスペプシア」が原因です。

これは、胃の動きや知覚の異常によって症状が出る病気で、近年増えています。国内の10人に1人が該当すると言われており、受診に至っていない方も少なくありません。

機能性ディスペプシアの主な症状

  • 食後すぐにお腹がいっぱいになる
  • 少量で苦しくなる
  • 胃の上の方が痛む・焼ける
  • 空腹時や緊張時に胃が不快になる
  • 食後の胃もたれが続く

機能性ディスペプシアには、大きく分けて2つのタイプがあります。

食後愁訴症候群(PDS)は、食後に胃がもたれたり、すぐにお腹いっぱいになるタイプです。胃の排出機能の低下や、胃の拡張反応の異常が原因と考えられています。

心窩部痛症候群(EPS)は、空腹時にみぞおちが痛くなったり、チクチク・シクシクするタイプです。胃の知覚過敏が主な原因で、通常では痛みを感じない程度の刺激でも過敏に反応してしまいます。

実際には、この2つのタイプが混在することも珍しくありません。

胃以外の原因

胃の症状だと思っていても、実際は胃以外が原因のこともあります。

胆のう疾患(胆石、胆のう炎)は、みぞおちの痛みや吐き気を伴います。特に脂っこい食事の後に症状が出やすいのが特徴です。

膵炎は、胃痛に似た痛みが背中まで響くことがあります。

食道アカラシア・機能性食道障害は、飲み込みづらさや胸の詰まり感を引き起こします。

心因性(ストレス、うつ、パニック障害)の場合、胃に症状が集中しやすくなります。自律神経の乱れが胃の機能に影響を与えるためです。

心臓疾患(狭心症など)も、みぞおちや上腹部の痛みとして出ることがあります。

このように、「胃が原因だと思っていたら別の臓器だった」というケースも珍しくありません。

次に検討すべき検査

胃カメラで異常が見つからなかった場合、次に検討すべき検査があります。

ピロリ菌検査

胃カメラでピロリ菌感染を「疑う」ことは可能ですが、確定診断には検査が必要です。

ピロリ菌は、胃の粘膜にすみつく細菌で、多くは幼少期に感染します。一度感染すると自然には消えず、慢性的な胃の炎症を引き起こし、長期的には胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性胃炎、そして胃がんの発症リスクを高めます。

ピロリ菌は抗生物質と胃酸を抑える薬を組み合わせた内服治療で除菌できます。除菌治療を保険で行うには、事前に胃カメラで「胃炎の所見がある」かつ「その他検査でピロリ菌陽性」を確認する必要があります。

ピロリ菌を放置すると、加齢とともに胃の粘膜が萎縮し、胃がんのリスクが高まります。早めの検査と除菌が大切です。

腹部エコー検査

腹部エコー検査は、肝臓、胆のう、総胆管、膵臓、大腸・小腸など、胃の近辺の臓器の異常の有無を調べます。

胆石や胆のう炎、膵炎などが見つかることがあります。

CT検査

胃カメラ検査、超音波検査の上、精密検査としてCT検査が必要になることがあります。

全身の断層像だけでなく、3Dの立体像で鮮明な画像が取得でき、肺などの胸部の病変、肝臓・腎臓などの腹部の病変の早期発見に役立ちます。

当院では、GEヘルスケア社製の16列CT装置「Revolution ACT」を導入しており、撮影時間が短いため、被ばく量も最小限に抑えられます。

血液検査

貧血、肝機能、膵酵素、炎症反応などを調べることで、胃以外の臓器の異常を見つけることができます。

受診の緊急性を見分けるポイント

症状が続いている場合、どのタイミングで受診すべきか悩む方も多いでしょう。

以下のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

すぐに受診すべき症状

  • 血便や黒い便(タール便)が出た
  • 体重が急激に減少している
  • 貧血が進行している
  • 激しい腹痛が続く
  • 吐血があった
  • 嚥下困難(飲み込みにくさ)がある

これらの症状は、重大な病気のサインである可能性があります。すぐに医療機関を受診しましょう。

早めの受診を検討すべき症状

  • 市販薬を服用しても症状が全く治らない
  • 症状が数週間以上続いている
  • 症状が徐々に悪化している
  • 食欲不振が続き、栄養が不足している
  • 日常生活に支障が出ている

これらの症状がある場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。

受診時に持参すべきもの

受診時には、以下のものを持参すると診察がスムーズに進みます。

過去の検査結果

胃カメラの検査結果、血液検査の結果、CT検査の画像など、過去の検査結果をすべて持参してください。

検査結果の推移を見ることで、より正確な診断が可能になります。

症状の記録

いつ、どんなタイミングで症状が出るのか、症状の詳細を記録しておくと、医師に伝えやすくなります。

  • 食前or食後に症状が起こる
  • 起きてすぐ胃がむかつく
  • 夕方になると決まって痛む
  • ストレスで症状が強くなる
  • 症状が断続的か継続的か

症状の記録があると、根本にある原因を特定しやすくなります。

服用中の薬

現在服用している薬(市販薬を含む)をすべて伝えてください。

お薬手帳があれば持参してください。

機能性ディスペプシアの治療法

機能性ディスペプシアと診断された場合、以下のような治療法があります。

生活習慣の改善

機能性ディスペプシアの原因となる生活習慣の乱れを改善します。

  • 暴飲・暴食・早食いを避ける
  • 脂っこいもの・刺激物を摂り過ぎない
  • 十分に睡眠を摂る
  • 規則正しい生活を送る
  • ストレスを上手に解消する

これらの改善だけで症状が軽減することもあります。

薬物療法

消化管の蠕動運動を改善する薬、胃酸の分泌を抑える薬などを使用します。

また、六君子湯・半夏瀉心湯・半夏厚朴湯といった漢方薬、抗うつ剤・抗不安薬が有効になることもあります。

患者様の症状に合わせて、最適な薬を選択します。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌の感染が認められる場合には、その除菌治療を行うことで、症状の改善が期待できます。

除菌治療では、胃酸の分泌を抑制する薬1種類と、抗生物質2種類を、連日1週間内服します。

当院での取り組み

大阪消化器内科・内視鏡クリニックでは、日本内視鏡学会の内視鏡専門医による、鎮静剤を用いた胃カメラ検査・大腸カメラ検査を行っています。

豊富な経験と知識を持つ医師の丁寧な操作、苦痛・不安を和らげる鎮静剤が、患者様のご負担を最小限に抑えます。

検査前後にはお一人おひとり、分かりやすく丁寧な説明をいたしますので、ご理解・ご納得して検査を受けていただけます。

また内視鏡は、オリンパス社製の最上位機種「EVIS X1」を導入しております。特殊な光で病変部を強調する機能、拡大観察できる機能が、胃がん・大腸がんをはじめとする疾患の早期発見を可能とします。

胃カメラ検査・大腸カメラ検査の「辛い・苦しい」というイメージを払拭する決意ですので、どうぞ安心して、お気軽にご相談ください。

検査後、精密検査・入院治療が必要になった場合は、速やかに高度医療機関と連携します。当院は内視鏡検査に注力したクリニックですが、「検査の受けっぱなし」で終わることなく、必要な医療がお届けできるよう万全のフォローをいたします。

まとめ

胃カメラで「異常なし」と言われても、症状が続く場合は決して「気のせい」ではありません。

機能性ディスペプシアや胃以外の臓器の病気が隠れている可能性があります。

症状が続いている場合は、追加検査や継続的なフォローを受けることが大切です。

ピロリ菌検査、腹部エコー検査、CT検査、血液検査など、必要な検査を適切に受けることで、原因を特定し、適切な治療につなげることができます。

当院では、検査後も症状に合わせたきめ細やかな治療を重視しています。単に「異常なし」と伝えて終わりではなく、つらさの背景まで丁寧に考える診療を行います。

『検査をしたのに解決しない』という不安も、ぜひご相談ください。

詳しくは、大阪消化器内科内視鏡クリニックの公式サイトをご覧ください。

なんば駅から駅直結ビルで、平日・土日祝日も診療しています(9:00~17:00)。電話・Web予約も可能です。

胃の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

著者情報

石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)

経歴

平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院

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