コラム

2026.02.11

大腸ポリープ切除後の注意点|食事・運動・出血時の受診目安を徹底解説

大腸ポリープを切除された後、多くの患者様から「いつから普通の食事に戻れるの?」「運動はいつから再開できる?」「出血があったらどうすればいいの?」といった質問をいただきます。

大腸ポリープ切除は、大腸がんの予防に非常に有効な治療法です。

しかし、術後の過ごし方を誤ると、出血や穿孔といった合併症を引き起こす可能性があります。適切なケアと注意点を守ることで、安全に日常生活に戻ることができるのです。

この記事では、消化器・内視鏡専門医として数多くの大腸ポリープ切除を行ってきた経験から、術後の食事制限や運動制限、出血などの合併症が起きた際の受診タイミングについて詳しく解説します。安心して回復期間を過ごし、スムーズに日常生活に戻るための具体的なポイントを整理しました。

大腸ポリープ切除後の回復期間と基本的な注意点

大腸ポリープ切除後の回復期間は、切除したポリープの大きさや数、切除方法によって個人差があります。

一般的には、切除後1週間程度は特に注意が必要な期間となります。

大腸ポリープ切除後は、腸内に「傷」ができた状態です。

この傷が完全にふさがるまでには数日かかるため、特に術後2〜3日目は出血などの合併症が起こりやすい時期となります。切除部位は一時的に「潰瘍」のような状態になり、そこから出血することがあります。

安静期間の重要性

切除後当日から3日間は特に安静にし、激しい運動や腹圧がかかる行動を避けることが大切です。

この期間は出血のリスクが比較的高いため、無理をしないことが重要です。

安静期間中に避けるべき行動として、以下のようなものがあります。

  • 飲酒 ・・・ 血管を拡張させ、出血を助長する作用があります
  • 激しい運動 ・・・ 腹圧がかかり、切除部位に負担をかけます
  • 長距離の移動 ・・・ 特に飛行機は気圧変化により腸に圧力がかかります
  • 長時間の入浴やサウナ ・・・ 体を過度に温めると血流が増加し、出血リスクが高まります

切除方法による違い

大腸ポリープの切除方法には、主に「コールドポリペクトミー(CSP)」と「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」があります。

コールドポリペクトミーは、高周波電流のような熱を加えずに切除する方法で、10mm未満の小さな腫瘍性ポリープに適応されます。

この方法は出血や穿孔のリスクが比較的低く、後出血率は0%というデータもあります。

一方、EMRは高周波電流を使用するため、切除部位が熱傷になり、粘膜下層まで影響が及びます。そのため、出血率は1.1%から1.7%程度と報告されています。

切除方法によって注意期間も異なり、コールドポリペクトミーの場合は3日間、EMRの場合は1週間程度の注意が必要です。

大腸ポリープ切除後の食事で気をつけるべきこと

大腸ポリープ切除後の食事は、腸への負担を最小限に抑えることが重要です。

切除部位はまだ傷がある状態なので、消化に良い食事を心がけましょう。

硬いものや繊維の多い食べ物が腸を通ると、切除した傷をこすって出血を引き起こす可能性があります。

切除直後の食事メニュー

切除直後の1〜2日間は特に注意が必要です。

おすすめの食事メニューとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • おかゆやうどん ・・・ 柔らかい炭水化物で消化に優しい
  • 豆腐や白身魚 ・・・ 消化の良いタンパク源
  • 野菜スープ ・・・ 形を細かくした野菜で栄養補給
  • ヨーグルトやバナナ ・・・ 腸に優しい食品

避けるべき食品

この時期に避けるべき食品としては、以下のようなものがあります。

  • 油分の多い揚げ物や脂っこい食べ物 ・・・ 消化に時間がかかり、腸に負担をかけます
  • 唐辛子やカレー粉などの刺激の強い香辛料 ・・・ 腸の粘膜に炎症を起こしやすい
  • アルコール飲料や炭酸飲料 ・・・ 血管を拡張させ、出血リスクを高めます
  • 生野菜やキノコ類、海藻類 ・・・ 食物繊維が多く、傷をこする可能性があります

水分補給と便秘予防

水分も積極的に摂取し、便秘を予防することも大切です。

便が硬くなると排便時に腸に負担がかかり、出血のリスクが高まる可能性があります。

ただし、過度な食事制限は栄養不足を招く恐れもあります。

ポリープの大きさや切除方法によって異なりますが、一般的には術後3日目以降から徐々に通常の食事に戻していくことが可能です。

まずは消化の良いものから始めて、様子を見ながら食べられるものを増やしていきましょう。

運動や入浴はいつから再開できる?

大腸ポリープ切除後の運動再開については、多くの患者様から質問を受けます。

運動をすると血流が増え、血圧も上がります。

それによって、腸の切除部位にあるかさぶたがはがれ、再出血のリスクが高まる可能性があるのです。

特に腹圧がかかる運動は、創部への圧力が直接的にかかるため危険です。

運動再開の段階的アプローチ

運動再開の目安としては、以下のようなステップを踏むことをお勧めします。

  • 術後3日間程度 ・・・ 安静にし、運動は控える
  • 術後4日目〜1週間程度 ・・・ 体調が安定していれば、散歩や軽いストレッチなどの軽い運動から始める
  • 術後1週間以降 ・・・ ジョギング、ゴルフ、テニス、筋力トレーニングなどの激しい運動や腹圧のかかる運動は、医師の許可を得てから再開する

「発汗を伴うような運動」が一つの目安となることもあります。

入浴とサウナの注意点

入浴についても注意が必要です。

長時間の入浴やサウナは血行が促進され、再出血の可能性が高まります。

術後2日目以降に短時間のシャワーから始め、1週間程度経過してから湯船に浸かるという段階的なアプローチが安全です。

ただし、サウナや岩盤浴などは術後2週間程度は避けるのが無難でしょう。

アルコールとカフェインの摂取

アルコールやカフェインの摂取再開も慎重に行う必要があります。

アルコールは血管を拡張させ、出血を助長する作用があります。

特に赤ワインやビールなどの発酵酒は刺激が強いため、術後最低でも1週間は控えることをお勧めします。

コーヒーなどのカフェインを含む飲み物も腸を刺激する作用があるため、数日程度は控え、再開するときも薄めのものから少量ずつ様子を見ながら飲むようにしましょう。

仕事復帰と日常生活への戻り方

「大腸ポリープを切除したけれど、立ち仕事っていつからできるの?」

「デスクワークなら明日から大丈夫?」このような質問をよく受けます。

仕事復帰のタイミングは、仕事の内容や個人の回復状況によって異なります。

デスクワークの場合

身体への負担が少ないデスクワークであれば、翌日から可能なケースもあります。

ただし、体調には十分注意し、お腹の張りや違和感、出血などがないかを確認しながら、無理のない範囲で進めましょう。

長時間座りっぱなしは避け、適度に休憩を取ることも大切です。

腹圧がかかる仕事の場合

介護職、運送業、建設業など、重い物を持ったり、お腹に力が入ったりする仕事の場合は、少なくとも3日〜1週間程度は避けるのが賢明です。

クリニックによっては、10日間程度の安静を指示されることもあります。

必ず医師に確認し、許可を得てから復帰するようにしてください。

復帰後も、しばらくは体調の変化に気を配り、出血や強い腹痛など異変を感じた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

日常生活での注意点

日常生活では、排便時の強い努責を避けることも重要です。

便秘にならないよう水分を十分に摂取し、必要に応じて医師に相談して緩下剤を使用することも検討しましょう。

また、性行為についても、術後1週間程度は控えるよう指示されることが多いです。

これは、性行為によって腹圧が上昇し、出血のリスクを高める可能性があるためです。

大腸ポリープ切除後の出血:色・量・続く期間の目安

大腸ポリープを切除された後、多くの方が気になるのが「出血」の問題です。

切除後はある程度の出血が起こりうるものですが、その色や量、続く期間によっては注意が必要な場合もあります。

出血が起こる理由と時期

大腸ポリープは、大腸の粘膜からキノコのように盛り上がったものです。

これを内視鏡で切り取るわけですから、多かれ少なかれ出血するのは自然なことです。

切除した部分は一時的に「傷」や「潰瘍」のような状態になり、そこから出血することがあります。

ポリープには栄養を送るための血管が存在し、特に茎が太いポリープや大きなポリープでは、内部の血管も太く、出血のリスクがやや高まることがあります。

出血しやすい期間として、治療後24時間以内が最も出血が起こりやすい期間です。

特に切除当日の夜間から翌朝の排便時に出血が見られることが多いとされています。

治療後1週間程度は遅発性の出血にも注意が必要で、稀に2週間程度後にかさぶたが剥がれるようにして出血することもあります。

一般的に、術後1週間を過ぎると出血のリスクはかなり低くなり、0%に近づくとされています。

比較的心配の少ない出血の目安

排便時に出血が見られたら、まずは慌てずにその「色」と「量」を確認しましょう。

比較的心配の少ない出血としては、以下のようなものがあります。

  • トイレットペーパーに鮮血が少量付着する程度
  • 便の表面に、筋状に少量の血液が付着している
  • ごく少量の暗赤色の血の塊が少量混じる程度で、すぐに出血が止まる

このような場合は、多くが自然に止血するため、過度な心配は不要なことが多いです。

できるだけ安静にし、無理な動きを避け、引き続き便の状態を観察しましょう。

注意が必要な出血・病院へ連絡すべきサイン

以下のような出血の場合は、自己判断せずに速やかに手術を受けた医療機関に連絡し、指示を仰いでください。

  • 便全体が赤黒い血液に染まっている
  • 鮮血がポタポタと垂れる、またはシャーっと出る
  • 何度も血便が続く
  • 生理の多い日のような出血量
  • 1日に何度もトイレットペーパーが真っ赤になるほどの出血がある
  • 持続する腹痛、または徐々に強くなる腹痛がある
  • めまい、ふらつき、立ちくらみ、顔面蒼白、冷や汗、動悸、息切れなど貧血を疑う症状がある

特に注意すべきサイン(緊急性が高い可能性)

便器が真っ赤に染まるほど多量の鮮血が出る、意識が遠のく感じがする、我慢できないほどの強い腹痛、冷や汗が止まらないといった症状がある場合は、夜間や休日であってもためらわずに、手術を受けた医療機関の緊急連絡先に連絡するか、救急病院を受診してください。

状況によっては救急車の要請も考慮しましょう。

出血した場合の病院での対応と治療法

万が一、ポリープ切除後に出血が続いたり、量が多い場合は、適切な処置が必要です。

まずはクリニックへ連絡

自己判断せず、まずは手術を受けた医療機関に連絡しましょう。

夜間や休診日であっても、緊急連絡先が案内されているはずです。

電話で状況を説明し、指示を仰いでください。

出血の色、量、頻度、その他の症状(腹痛、めまいなど)を具体的に伝えることが重要です。

病院での対応

少量の出血であれば、経過観察で止血されることがほとんどです。

患者様はこの間、安静に過ごし、無理な動きを避けることが重要です。

一方で、予期しない痛みや一時間に複数回トイレに行く程の出血が見られた場合は、すぐに医師に連絡する必要があります。

比較的多くのケースでは、内視鏡を用いた止血処置が取られます。

この方法は、出血箇所を直接観察しながら行うため、非常に効果的です。

内視鏡下でクリップや高周波を用いて止血を行うことができます。

稀に輸血を要する出血もありますが、適切な処置により多くの場合は回復します。

大腸ポリープ切除の合併症とリスク要因

大腸ポリープ切除後の合併症として最も多いのが出血です。

その他にも、穿孔(大腸の壁に穴があくこと)や腹痛などがあります。

特に高齢者や抗血栓薬を内服中の患者様は、合併症のリスクが高まることが知られています。

出血リスクが高まる要因

以下のような要因がある場合、出血リスクが高まります。

  • 抗血栓薬の内服 ・・・ 血液をサラサラにする薬を服用している場合
  • 高齢者 ・・・ 加齢により血管の脆弱性が増すため
  • いきみやアルコール ・・・ 腹圧の上昇や血管拡張により出血リスクが高まる

切除方法による合併症率の違い

コールドポリペクトミーは、EMRと比較して後出血率が低いことが報告されています。

コールドポリペクトミーの後出血率は0%で、遅発性穿孔は認めなかったというデータがあり、大きな合併症は少ないです。

これは、熱を使わずにポリープを切除するため、EMRに比べ合併症が少ないといわれております。

一方、EMRの場合は出血率が1.1%から1.7%程度と報告されています。

大腸がん予防のための定期検診の重要性

大腸ポリープ切除は、大腸がん予防に非常に有効です。

大腸がんの多くは大腸ポリープから派生すると考えられており、大腸ポリープ切除により53%の大腸がん死亡を予防できるという報告もあります。

早期発見のメリット

早期発見がなぜ重要かというと、小さいうちに腫瘍性ポリープを摘除することにより、大腸がん発生の予防につながるからです。

症状が起きないうちから大腸カメラを受けることが推奨されます。

大腸がんは早期の段階では自覚症状はほとんどありません。

進行すると、便に血が混じる(血便や下血)、便の表面に血液が付着するなどの症状があらわれます。

定期検診の頻度

大腸ポリープを切除した後は、定期的な検診が重要です。

ポリープの大きさや数、組織型によって異なりますが、一般的には1〜3年ごとの大腸カメラ検査が推奨されます。

医師の指示に従い、定期的な検診を受けることで、再発や新たなポリープの早期発見につながります。

まとめ:安心して回復期間を過ごすために

大腸ポリープ切除後の注意点について、詳しく解説してきました。

術後の過ごし方を適切に守ることで、合併症を予防し、安全に日常生活に戻ることができます。

重要なポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 安静期間 ・・・ 術後3日間は特に安静にし、激しい運動や腹圧がかかる行動を避ける
  • 食事 ・・・ 消化に良い食事を心がけ、刺激物や食物繊維の多い食品は避ける
  • 運動 ・・・ 段階的に再開し、激しい運動は医師の許可を得てから
  • 出血 ・・・ 少量の出血は経過観察で問題ないが、多量の出血や持続する出血は速やかに受診
  • 定期検診 ・・・ 再発予防のため、医師の指示に従い定期的な検診を受ける

最も大切なのは自己判断せず、必ず担当医の指示に従うことです。

不安なことや気になる症状があれば、ためらわずに医療機関にご相談ください。

当院では、消化器・内視鏡専門医がすべての診察、検査、検査結果説明までを担当いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。

大腸ポリープ切除後の詳しい注意点や、無痛での内視鏡検査については、石川消化器内科内視鏡クリニックまでお気軽にお問い合わせください。

著者情報

石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)

経歴

平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院

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