コラム

2026.03.12

便潜血陽性と言われたら…次にやることを専門医が解説

便潜血陽性の通知が届いたら

健康診断で「便潜血陽性」という結果を受け取った方へ。

この通知を見て不安になるのは当然のことです。しかし、落ち着いて適切な対応をすることが何より大切です。便潜血陽性は「大腸がんの可能性がある」というサインですが、必ずしもがんがあるわけではありません。

消化器内科の専門医として、これまで多くの患者さんを診てきた経験から申し上げると、便潜血陽性の通知を受け取った後の行動が、その後の健康を大きく左右します。

この記事では、便潜血陽性と言われた方が次にやるべきことを、具体的にお伝えしていきます。

便潜血検査の意味を正しく理解する

便潜血検査とは何か

便潜血検査は、大腸がんによる死亡率を減らす効果があるという十分な証拠がある検査方法です。

大腸にがんやポリープがあると、便とこすれることで微量の血液が混じることがあります。この血液は肉眼では確認できないほど少量ですが、免疫法という検査方法で検出することができます。日本で主流となっている免疫法は、ヒトの赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質に特異的に反応する試薬を用いて、便に含まれる少量の血液を検出します。

検査方法は便を採取して提出するだけ。体内に機械や薬剤を入れたり、長時間にわたって検査を受けたりすることがないため、負担が少なく簡便な検査です。

2日法で検査する理由

便潜血検査は通常「2日法」で実施されます。

なぜ2回採取するのか?

大腸がんがあって便とこすれても、出血するときとしないときがあるからです。特に初期の場合、大腸がんがあっても1回の便ではたまたま潜血が検出できないこともあります。2日法の検査で検出の感度を上げているわけです。

ただし、3日法と2日法を比べた研究では、確かに3日法の方が感度は上がりますが、様々な要因から偽陽性(病気がないのに陽性の結果になること)になる確率も上がり、検査の特異度が下がってしまうことがあるという結果も出ています。そのため、2日法が日本の便潜血検査の主流となっています。

便潜血陽性の意味

便潜血陽性と判定された場合、どれくらいの確率で「本当の病気」なのでしょうか?

この検査はあくまでスクリーニング検査なので、検査の精度はそれほど高くありません。便潜血陽性の方から大腸ポリープが見つかる確率が50%前後と言われています。大腸がんが見つかる確率は2~3%程度です。

つまり、便潜血陽性でも必ずしもがんがあるわけではありませんが、「大腸がんの可能性がある」という重要なサインであることは間違いありません。

便潜血陽性後に絶対にやってはいけないこと

放置することの危険性

便潜血陽性と診断されたとき、一番やってはいけないことは、消化器内科を受診せずに放っておくことです。

自覚症状がないため、「硬い便だったから肛門が切れてしまった」「昔から痔があるからソレが原因だろう」などと自分に都合の良い解釈をしてしまい、精密検査の機会を逃してしまう方が多く見受けられます。

大腸がんは進行するまで自覚症状がないことが多いため、検査で早期発見することは大変重要です。早期に発見できれば完治も可能ですし、早めに治療することで身体的な負担も軽く、総合的な医療費も少なく済みます。

「もう一度便潜血検査を」は意味がない

消化器内科を受診した際、医師に大腸カメラを勧められると思います。

この時、「もう一回、便潜血検査を受けさせてください」とお願いする患者さんもおられますが、あまり意味がありません。医師は「潜血反応が1回陽性になったこと」を重視するからです。

2日法で「一回だけ陽性」の方も、消化器内科への受診が必要です。

痔や生理を理由に先延ばししない

「痔があるから」「生理中だったから」という理由で精密検査を先延ばしにする方もいらっしゃいます。

確かに痔や生理中は便潜血検査を避けるべきですが、それはあくまで検査を受ける「前」の話です。すでに陽性と判定された後は、その理由がどうであれ、精密検査を受ける必要があります。

次にやるべきこと:大腸カメラ検査の予約

なぜ大腸カメラが必要なのか

便潜血陽性後の精密検査として、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が推奨されます。

カプセル内視鏡・大腸CT検査・大腸バリウム検査など、他の大腸検査もそれぞれ有用な方法ではありますが、精度の点で大腸カメラに軍配があがります。特に5mm以下の大腸がん/ポリープを見つけることにおいては大腸カメラより優れた検査はありません。

大腸カメラの長所と短所

長所:

  • 5mm以下の小さなポリープを見つけやすい
  • 病変の切除や組織の採取が可能
  • 粘膜面の色調や細かい模様を観察できる

短所:

  • 検査に必要な時間が長い
  • 前処置がとても面倒
  • 内視鏡挿入時に苦痛を伴うことがある
  • 腸のヒダの裏側や屈曲部はカメラの死角となり、病変が見つけにくい事がある
  • 内視鏡で腸壁を傷つける可能性がある

大腸内視鏡検査の欠点は、検査に必要な時間と前処置の面倒さにつきます。

信頼できる医療機関の選び方

大腸カメラは上手な医師に、症例数の多い施設で、自分に合ったやり方(鎮静剤あり)でやってもらいましょう。

昨今では、「内視鏡専門ではない医師」「消化管が専門ではない医師」「肝臓など他の臓器が専門の医師」が、軽い気持ちでこの検査を施行するケースが目立ちます。当然、「腸に穴が開いてしまった」「出血が止まらずに入院になった」などトラブルも多く発生しています。

検査を受けることを決意したら、なるべく信頼できる施設を探してください。

大腸カメラ検査の準備と流れ

検査前の準備

検査に必要な時間はほぼ丸一日です。

起床後、前処置で腸管洗浄液と呼ばれる液体を2000ml程度、2~4時間かけて内服します。少し不味いスポーツ飲料水のような味がします。この液体を飲むのが一番つらい、という患者さんも多いです。

また、洗浄液を内服しながら自宅トイレに7~10回行くことになります。この半日間の前処置を終えてから来院して頂くことになります。

鎮静剤の選択

検査医師の能力や鎮静剤の使い方で、検査時の苦痛はある程度克服可能です。

2種類の鎮静剤を静脈注射することで、「寝ている状態」「ウトウトした状態」で検査を受けることが可能です。鎮静剤を使用する場合は、検査後の運転ができないなどの注意点もありますので、事前に医師と相談しましょう。

検査当日の流れ

検査当日は以下のような流れになります:

  • 来院・受付
  • 検査着への着替え
  • 鎮静剤の投与(希望者のみ)
  • 大腸カメラ検査(15~30分程度)
  • 休憩室で安静(鎮静剤使用の場合)
  • 医師からの説明
  • 帰宅

検査自体は15~30分程度で終わりますが、前後の準備や休憩時間を含めると、クリニックでの滞在時間は2~3時間程度になります。

検査後の対応と次のステップ

検査結果の見方

大腸カメラ検査の結果は、通常、検査直後に医師から説明があります。

結果は大きく分けて以下のパターンがあります:

  • 異常なし:大腸に問題が見つからなかった場合
  • ポリープあり:良性のポリープが見つかった場合(検査中に切除することも可能)
  • 精密検査が必要:組織を採取して詳しく調べる必要がある場合
  • 大腸がん:がんが見つかった場合(早期発見であれば治療の選択肢が広がります)

異常が見つかった場合

大腸ポリープが見つかった場合、多くは検査中に切除することができます。

切除したポリープは病理検査に出され、良性か悪性かを詳しく調べます。結果は通常1~2週間後に分かります。

大腸がんが見つかった場合は、がんの進行度(ステージ)に応じて、内視鏡治療、手術、化学療法などの治療方法が検討されます。早期発見であれば、内視鏡治療だけで完治することも可能です。

異常がなかった場合

大腸カメラで異常が見つからなかった場合でも、定期的な検査は必要です。

40歳以上では年1回の便潜血検査を受診することが推奨されています。また、特に50歳以上の場合には強く推奨されています。これは40歳頃から大腸がんの死亡率及び罹患率が増加するためです。

また、以下のような方は、より頻繁な検査が推奨されます:

  • 50歳以上の方
  • 大腸がん・大腸ポリープの家族歴がある方
  • 高カロリー摂取及び肥満の方
  • 過去にポリープが見つかったことがある方

よくある質問と不安の解消

「痔があるから陽性になっただけでは?」

確かに痔からの出血で便潜血陽性になることはあります。

しかし、それを自己判断で決めつけることは危険です。痔と大腸がんが同時に存在する可能性もあります。便潜血陽性と判定された場合は、必ず消化器内科を受診して精密検査を受けてください。

「仕事が忙しくて時間が取れない」

大腸カメラ検査は確かに時間がかかります。

しかし、大腸がんを放置して進行させてしまうと、より長期間の治療が必要になり、仕事への影響も大きくなります。早期発見・早期治療が、結果的に仕事への影響を最小限に抑えることにつながります。

土曜日や平日夕方に検査を実施している医療機関もありますので、スケジュールに合わせて選択することができます。

「検査が怖い・痛そう」

大腸カメラ検査に対する不安は、多くの方が抱えています。

しかし、鎮静剤を使用することで、ほとんど苦痛を感じずに検査を受けることができます。「寝ている間に終わった」という患者さんも多くいらっしゃいます。

検査前に医師や看護師に不安を伝えることで、より安心して検査を受けることができます。

まとめ:早期発見が命を救う

便潜血陽性と言われたら、まず落ち着いて、次のステップに進むことが大切です。

放置することが一番危険です。

大腸がんは早期発見できれば完治も可能な病気です。国内の研究では、便潜血検査(免疫法・1日法)を毎年受けることで大腸がんによる死亡率を60%減らせるという結果も出ています。

便潜血陽性の通知を受け取ったら:

  • 自己判断で放置しない
  • 消化器内科を受診する
  • 大腸カメラ検査を受ける
  • 結果に応じて適切な対応をする
  • 定期的な検査を継続する

この5つのステップを守ることで、大腸がんの早期発見・早期治療につながります。

石川消化器内科内視鏡クリニックでは、経験豊富な消化器内科専門医が、患者さん一人ひとりに寄り添った丁寧な検査と説明を行っています。便潜血陽性の通知を受け取った方、大腸カメラ検査をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

あなたの健康を守るために、今すぐ行動を起こしましょう。

便潜血陽性でお悩みの方へ

石川消化器内科内視鏡クリニックでは、経験豊富な専門医による大腸カメラ検査を実施しています。鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査が可能です。

 

便潜血陽性と言われた方へ

便潜血検査で陽性となった場合、大腸ポリープや大腸がんなどの可能性を確認するため、大腸カメラ検査が勧められることがあります。初めての方にも検査の流れを丁寧にご説明します。

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著者情報

石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)

経歴

平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院

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