
「最近、便の様子がいつもと違う気がする・・・」
そんな不安を抱えながらも、忙しさを理由に検査を先延ばしにしていませんか?
大腸カメラ検査は、大腸がんやポリープを早期に発見し、命を守るための重要な検査です。しかし、どのような症状が出たら検査を受けるべきなのか、判断に迷う方も多いでしょう。
消化器内科・内視鏡専門医として、これまで数多くの患者様を診察してきた経験から、見逃してはいけない10のサインをお伝えします。早期発見が何よりも大切です。
大腸カメラ検査が必要な10のサイン
大腸の病気は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
しかし、以下のような症状が現れた場合は、大腸に何らかのトラブルが発生している可能性があります。これらのサインを見逃さず、早めに検査を受けることが重要です。
1. 血便・下血がある
便に血が混じる、またはトイレットペーパーに血が付く症状は、大腸カメラ検査が必要な最も重要なサインの一つです。
「痔だから大丈夫」と自己判断してしまう方が多いのですが、実は大腸がんやポリープによる出血の可能性もあります。痔と大腸がんの出血を見分けることは、精密検査をしないと困難です。
鮮やかな赤色の血液だけでなく、黒っぽい便(タール便)も要注意です。これは上部消化管からの出血を示唆することがあります。

2. 便通異常が続く
下痢と便秘を繰り返す、または便通のパターンが以前と明らかに変わった場合は注意が必要です。
特に、これまで便秘がちだった方が急に下痢になる、あるいはその逆のパターンが続く場合は、大腸の機能に変化が起きている可能性があります。大腸がんや炎症性腸疾患では、このような便通異常が初期症状として現れることがあります。
2週間以上続く便通異常は、必ず医師に相談してください。
3. 便が細くなった
便の太さが以前より明らかに細くなった場合、大腸内に腫瘍などの障害物がある可能性があります。
大腸がんやポリープが大きくなると、腸管内腔が狭くなり、便が通過する際に細くなってしまうのです。鉛筆のように細い便が続く場合は、早急に検査を受けることをおすすめします。
4. 腹痛や腹部の違和感
持続する腹痛や腹部の張り、不快感は大腸の異常を示すサインかもしれません。
特に、食後に腹痛が悪化する、排便後も腹部の違和感が残る、といった症状がある場合は要注意です。虚血性大腸炎や炎症性腸疾患では、突然の腹痛と血便が同時に現れることがあります。
痛みの部位や性質、持続時間などを記録しておくと、診察時に役立ちます。
5. 便潜血検査で陽性反応
健康診断や人間ドックで便潜血検査が陽性となった場合、必ず精密検査(大腸カメラ)を受けてください。
便潜血検査は大腸がんの早期発見に有効な検査方法として推奨されています。40歳以上の方は、1年に1度の便潜血検査が推奨されており、陽性となった場合は全大腸内視鏡検査による精密検査が必要です。
「症状がないから大丈夫」と考えるのは危険です。大腸がんは早期段階では症状がないことが多いため、便潜血陽性の時点で検査を受けることが重要なのです。

6. 原因不明の体重減少
特にダイエットをしていないのに体重が減少する場合、何らかの病気が隠れている可能性があります。
大腸がんが進行すると、食欲不振や栄養吸収の低下により体重が減少することがあります。3ヶ月で5%以上の体重減少がある場合は、医師に相談することをおすすめします。
7. 貧血症状がある
慢性的な疲労感、めまい、息切れなどの貧血症状は、大腸からの微量出血が原因かもしれません。
大腸がんやポリープからの出血は、目に見えないほど少量でも、長期間続くことで貧血を引き起こします。特に女性の場合、月経による貧血と区別がつきにくいため、注意が必要です。
血液検査で貧血が指摘された場合は、消化管からの出血を疑い、大腸カメラ検査を検討してください。
8. 家族歴がある
血縁者に大腸がんやポリープの既往がある方は、リスクが高くなります。
特に、親や兄弟姉妹に大腸がんの患者がいる場合、発症リスクは2〜3倍になると言われています。家族歴がある方は、症状がなくても40歳を過ぎたら一度は大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。
家族の発症年齢より5〜10年早めに検査を開始することも検討してください。
9. 40歳以上で検査経験がない
大腸がんのリスクは40歳代から急激に上昇します。
これまで一度も大腸カメラ検査を受けたことがない方は、症状の有無にかかわらず、40歳を過ぎたら一度は検査を受けることをおすすめします。大腸ポリープは大腸がんの原因となるため、ポリープの段階で発見し切除することが、がん予防につながります。
早期の大腸がんやポリープは自覚症状がないことが多いため、定期的な検査が重要です。

10. 長期間の腹部膨満感
お腹が張る感じが続く、ガスがたまりやすいといった症状も見逃せません。
大腸の通過障害や機能異常により、このような症状が現れることがあります。特に、食事量を減らしても腹部膨満感が改善しない場合は、大腸の精密検査を検討してください。
大腸カメラ検査を受けるべきタイミング
症状が出てから検査を受けるのでは遅い場合があります。
大腸がんは早期発見すれば完治が望める病気です。しかし、かなり進行してしまうまで自覚症状がほとんどないという特徴があります。だからこそ、症状がない段階での定期的な検査が重要なのです。
定期検査の推奨スケジュール
40歳を過ぎたら、まず一度は大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
初回検査で異常がなかった場合でも、3〜5年ごとの定期検査が望ましいとされています。ポリープが見つかり切除した場合は、1〜2年後の再検査が必要です。
家族歴がある方や、過去にポリープを切除した経験がある方は、より短い間隔での検査が推奨されます。
緊急性の高い症状
以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
大量の血便、激しい腹痛、嘔吐を伴う腹痛、排便がまったくできないといった症状は、緊急性が高い可能性があります。これらの症状は、大腸の閉塞や穿孔など、命に関わる状態を示唆することがあります。
検診を待つのではなく、すぐに医療機関を受診しましょう。

大腸カメラ検査の流れと準備
検査に対する不安を軽減するため、実際の流れをご説明します。
検査前の準備
検査前日は、消化の良い食事を控えめに摂り、午後8時頃までに夕食を済ませます。
前日の夜には下剤(センノシド)を服用し、腸の動きを促進させます。検査当日は、約2リットルの腸管洗浄液を数回に分けて飲み、大腸内をきれいにします。便が透明な液体状になれば準備完了です。
常備薬を服用している方は、事前に医師に相談してください。特に血液をサラサラにする薬を服用している場合は、休薬が必要なこともあります。
検査当日の流れ
検査着に着替え、検査台に横になります。
鎮静剤を使用する場合は、注射により眠った状態で検査を受けることができます。肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を観察します。検査時間は通常15〜20分程度ですが、ポリープの数や大きさによって異なります。
ポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です。検査後は少し休んでから、撮影した画像を見ながら結果の説明を受けます。
検査後の注意点
検査後はお腹が張るため、おならをどんどん出しましょう。
鎮静剤を使用した場合、検査当日の車の運転は禁止です。飲食は1時間後から可能ですが、ポリープ切除を行った場合は、2〜3日間は刺激のある食事や飲酒を避けてください。
便に少量の血が混じることがありますが、通常は心配ありません。ただし、大量の出血や激しい腹痛がある場合は、すぐに連絡してください。
大腸カメラ検査で発見できる病気
大腸カメラ検査は、さまざまな大腸の病気を発見できる重要な検査です。
大腸がん
大腸がんは、女性のがん死亡原因の第1位であり、男性でも第3位です。
早期の大腸がんは内視鏡で切除可能で、完治も見込めます。しかし、進行してしまうと外科手術や抗がん剤治療が必要になります。大腸カメラ検査により、粘膜の初期段階のがんを発見し、その場で切除することができるのです。
大腸ポリープ(大腸腺腫)
良性の大腸腺腫は、放置すると大きくなり、がん化する可能性があります。
ポリープの段階で発見し切除することで、大腸がん予防につながります。当院では日帰り内視鏡切除が可能です。定期的な検査により、ポリープを早期に発見し、がんになる前に対処することが重要です。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患も、大腸カメラ検査で診断できます。
これらの病気は、腹痛、下痢、血便などの症状を引き起こし、長期的な管理が必要です。早期診断により、適切な治療を開始し、症状をコントロールすることができます。
虚血性大腸炎
腹痛、下痢、血便などが突然現れる病気で、便秘の酷い若い方にも多く見られます。
診断確定および治療方針を決定するために、大腸内視鏡検査が必須となります。一過性型では絶食・点滴により治癒しますが、重症型では手術が必要となることもあります。
よくある質問と不安の解消
検査に対する不安や疑問にお答えします。
検査は痛いですか?
鎮静剤を使用すれば、ほとんど痛みを感じることなく検査を受けられます。
当院では、患者様の希望に応じて鎮静剤の使用を選択できます。鎮静剤を使用すると、眠った状態で検査を受けることができ、検査中の不快感や痛みをほとんど感じません。
検査費用はどのくらいですか?
症状があったり、健診で精密検査が必要になった場合は、基本的に保険が適用されます。
保険適用の場合、負担割合は1〜3割となり、検査のみであれば数千円から1万円程度です。ポリープ切除を行った場合は、追加費用が発生しますが、それでも保険適用により負担は軽減されます。
便潜血検査が陰性でも検査は必要ですか?
便潜血検査が陰性でも、大腸がんやポリープがないとは言えません。
大腸がんは毎日出血しているわけではないため、便潜血検査で陰性となることもあります。特に早期のがんやポリープでは、便潜血検査の大部分が陰性となるため、40歳を越えたら一度は大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。
まとめ:早期発見が命を守る
大腸カメラ検査が必要な10のサインをご紹介しました。
血便、便通異常、便が細くなる、腹痛、便潜血陽性、体重減少、貧血、家族歴、40歳以上、腹部膨満感・・・これらのサインに一つでも当てはまる方は、早めに検査を受けることをおすすめします。
大腸がんは早期発見すれば完治が望める病気です。しかし、自覚症状がないまま進行してしまうことが多いため、定期的な検査が何よりも重要なのです。
「症状がないから大丈夫」「忙しいから後で」と先延ばしにせず、今すぐ行動を起こしてください。あなたの健康と命を守るために、大腸カメラ検査を受けましょう。
当院では、患者様が安心して検査を受けられるよう、丁寧な説明と配慮を心がけています。検査に関する不安や疑問があれば、いつでもご相談ください。
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著者情報
石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)
経歴
平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院









