
大腸内視鏡検査でポリープが見つかり、切除を勧められた際、多くの方が真っ先に気になるのは「費用はいくらかかるのだろう」という点です。
保険は適用されるのか、自己負担額はどれくらいになるのか、不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、消化器内科専門医の視点から、大腸ポリープ切除にかかる費用の実態を詳しく解説します。
保険適用の仕組みから実際の負担額、日帰り手術と入院の違い、さらに高額療養費制度の活用法まで、費用に関する疑問を網羅的にお伝えします。
大腸ポリープ切除と保険適用の基本
大腸ポリープの切除は、基本的に公的医療保険の適用対象となります。
ただし、すべてのケースで保険が適用されるわけではありません。保険適用の条件を正しく理解しておくことが大切です。
保険適用となる条件
大腸ポリープの切除が保険適用となるのは、**「病気の治療」を目的とした医療行為**である場合です。
内視鏡検査でポリープが発見され、医師が「大腸ポリープ」という診断名をつけた時点で、その後の切除は治療行為として扱われます。
多くの大腸ポリープは腺腫という良性の腫瘍ですが、放置すると数年から十数年かけてがん化する可能性があるため、予防的な切除も治療の一環とみなされます。

保険適用外となるケース
一方で、人間ドックなど健康診断の一環として、症状がない状態で検査を受けた場合は注意が必要です。
検査自体が自費診療となる場合、その際に発見されたポリープの切除も自費扱いになることがあります。
ただし、検査でポリープが見つかった時点で病名がつけば、その後の処置は保険適用となるケースが多いため、事前に医療機関へ確認することをおすすめします。
大腸ポリープ切除の費用内訳と実際の負担額
大腸ポリープ切除にかかる費用は、ポリープの大きさ、個数、切除方法によって変わります。
ここでは、診療報酬点数をもとに、実際の自己負担額を具体的に解説します。
診療報酬点数と費用の計算方法
日本の医療費は、診療報酬点数という全国統一の基準で決められています。1点=10円として計算され、どの医療機関で受けても原則として同じ点数が適用されます。
大腸ポリープ切除の代表的な手術である**内視鏡的ポリープ・粘膜切除術**の診療報酬点数は、ポリープの大きさによって異なります。
長径2センチメートル未満のポリープを切除した場合、手術手技料だけで約5,000〜8,000点、つまり10割負担で約50,000〜80,000円となります。
長径2センチメートル以上の場合は約15,000点、つまり約150,000円です。
これに加えて、初診料や再診料、検査料、病理組織標本作製料(約860点、約8,600円)、薬剤料などが加算されます。
3割負担での実際の自己負担額
公的医療保険に加入している場合、窓口での支払いは自己負担割合に応じた金額となります。
多くの方は3割負担ですので、長径2センチメートル未満のポリープ切除の場合、手術手技料だけで約15,000〜24,000円の自己負担となります。
検査料や診察料、薬剤料などを含めた総額では、日帰り手術の場合で約20,000〜30,000円程度が一般的な負担額です。
ポリープの個数が多い場合や、大きなポリープを切除する場合は、さらに費用が増加します。
日帰り手術と入院手術の費用比較
大腸ポリープの切除は、日帰りで行う場合と入院を伴う場合があります。
どちらを選択するかは、ポリープの大きさ、個数、形状、出血リスク、患者さんの全身状態などを総合的に判断して医師が決定します。
日帰り手術の費用
日帰り手術の場合、入院費用がかからないため、比較的費用を抑えることができます。
手術費用と診察費用が主な内訳となり、3割負担で約20,000〜30,000円程度が目安です。
小さなポリープを1〜2個切除する程度であれば、日帰りで対応できるケースが多く、経済的な負担も軽減されます。
入院手術の費用
入院を伴う場合は、手術費用に加えて入院基本料や食事療養費が加算されます。
1泊2日の入院であれば、入院基本料が1日あたり数千円、食事療養費が1食あたり460円(3割負担で約138円)かかります。
3割負担で3日間入院した場合、総額で約50,000〜80,000円程度の自己負担となることが一般的です。
大きなポリープや複数のポリープを切除する場合、出血リスクが高い場合などは、安全性を考慮して入院が推奨されます。

ポリープの大きさ・個数による費用の違い
大腸ポリープの切除費用は、ポリープの大きさと個数によって大きく変わります。
複数のポリープを切除する場合や、大きなポリープを切除する場合は、それだけ手技が複雑になり、費用も増加します。
小さなポリープ(5ミリメートル以下)
5ミリメートル以下の小さなポリープは、比較的簡単に切除できます。
1〜2個程度であれば、日帰りで対応可能で、3割負担で約20,000円前後が目安です。
中程度のポリープ(5〜20ミリメートル)
5〜20ミリメートルのポリープは、最も多く見られるサイズです。
このサイズのポリープを1〜3個切除する場合、3割負担で約25,000〜35,000円程度が一般的です。
個数が多い場合や、出血リスクが高い場合は入院が必要となり、費用も増加します。
大きなポリープ(20ミリメートル以上)
20ミリメートル以上の大きなポリープは、切除に高度な技術が必要となります。
手術手技料が高くなるため、3割負担でも約45,000円以上の自己負担となることがあります。
また、入院が必要となるケースが多く、総額では約60,000〜100,000円程度の負担が見込まれます。
高額療養費制度の活用法
医療費が高額になった場合、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を軽減できます。
この制度は、1か月間(同じ月内)の医療費が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される仕組みです。
高額療養費制度の自己負担限度額
自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。
70歳未満で年収約370〜770万円の方の場合、自己負担限度額は月額約80,100円+(医療費−267,000円)×1%となります。
例えば、医療費が総額300,000円(3割負担で90,000円)かかった場合、高額療養費制度を利用すると、実際の自己負担額は約80,430円となり、約9,570円が払い戻されます。
限度額適用認定証の事前申請
高額な医療費が予想される場合は、事前に「限度額適用認定証」を申請しておくことをおすすめします。
この認定証を医療機関の窓口に提示すれば、最初から自己負担限度額までの支払いで済みます。
申請は、加入している健康保険組合や協会けんぽ、市区町村の国民健康保険窓口で行えます。

民間医療保険からの給付金について
大腸ポリープの切除は、民間の医療保険やがん保険の給付対象となる可能性があります。
加入している保険の内容によって給付金の有無や金額が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
医療保険の手術給付金
多くの医療保険では、内視鏡的ポリープ切除術が手術給付金の対象となります。
日帰り手術の場合でも、外来手術給付金として1回あたり5万円程度が受け取れることが一般的です。
入院を伴う場合は、入院給付金(日額5,000円など)と手術給付金(10万円など)を合わせて受け取ることができます。
例えば、3日間入院して手術を受けた場合、5,000円×3日+100,000円=115,000円の給付金が受け取れる計算です。
がん保険の適用条件
切除したポリープが病理検査で悪性、つまり「がん」と診断された場合は、がん保険の給付対象となります。
この場合、手術給付金に加えて、がん診断給付金なども受け取れる可能性があります。
ただし、良性のポリープ(腺腫など)の場合は、がん保険の給付対象外となります。
また、上皮内がん(上皮内新生物)の場合、保険商品によって給付額が異なることがあるため、保険会社への確認が必要です。
検査から切除までの総額の目安
大腸ポリープの発見から切除、その後の経過観察までを含めた総額を把握しておくことは、費用計画を立てる上で重要です。
初回検査の費用
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用は、3割負担で約6,000〜9,000円程度が目安です。
検査中にポリープが発見され、その場で切除した場合は、切除費用が加算されます。
ポリープ切除と病理検査の費用
ポリープ切除の費用は、前述の通り、大きさや個数によって異なりますが、3割負担で約20,000〜30,000円が一般的です。
切除したポリープは病理検査に出され、その費用(約2,500〜3,000円)も加算されます。
経過観察の費用
切除後は、再発や新たなポリープの発生を確認するため、定期的な経過観察が推奨されます。
再検査の頻度は、切除したポリープの種類や大きさによって異なりますが、1〜3年ごとに大腸内視鏡検査を受けることが一般的です。
再検査の費用も、1回あたり3割負担で約6,000〜9,000円程度となります。

費用に関するよくある質問
大腸ポリープ切除の費用について、患者さんからよく寄せられる質問をまとめました。
複数のポリープを切除した場合、費用はどうなりますか?
複数のポリープを切除した場合、基本的には切除したポリープの個数や大きさに応じて費用が加算されます。
ただし、診療報酬点数の算定方法には一定のルールがあり、単純に個数分だけ費用が倍増するわけではありません。
詳細は医療機関にお尋ねください。
鎮静剤を使用した場合、費用は増えますか?
鎮静剤を使用した場合、薬剤料が加算されますが、数百円〜数千円程度の増加にとどまることが一般的です。
鎮静剤の使用によって検査や切除がスムーズに進むメリットがあるため、多くの医療機関で推奨されています。
保険証を忘れた場合はどうなりますか?
保険証を忘れた場合、いったん10割負担で支払う必要があります。
後日、保険証と領収書を持参すれば、差額分の払い戻しを受けることができます。
まとめ
大腸ポリープ切除の費用は、保険適用により3割負担で約20,000〜30,000円程度が一般的です。
ポリープの大きさや個数、日帰りか入院かによって費用は変動しますが、高額療養費制度を活用することで、さらに負担を軽減できます。
また、民間の医療保険やがん保険に加入している場合は、給付金を受け取れる可能性があるため、保険会社への確認をおすすめします。
費用面での不安を解消し、安心して検査や治療を受けていただくことが、大腸がん予防の第一歩です。
当院では、費用に関するご相談にも丁寧に対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
石川消化器内科内視鏡クリニックでは、最新の内視鏡機器と専門医による丁寧な検査・治療を提供しています。
大腸ポリープの検査や切除に関するご相談は、お電話またはWebからご予約ください。

大腸ポリープの検査・治療をご検討の方へ
大腸ポリープは大腸カメラ検査で発見されることが多く、その場で切除できる場合もあります。費用や保険適用の目安についても事前にご説明しています。
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著者情報
石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)
経歴
平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院









