コラム

2025.09.19

下痢が3日以上続く原因とは?消化器専門医が教える受診の目安

下痢が続くとき、何が起きているのか

下痢とは、水分の多い液状の便が何回も出る状態です。多くの方が経験されるこの症状は、冷えや暴飲暴食など日常的な原因でも起こります。短期間で改善する場合は特に問題ないことが多いのですが、長期間続いたり何度も繰り返したりする場合には注意が必要です。

便の水分含有量は、硬便(70%以下)、通常便(70~80%)、軟便(80~90%)、泥状便(80~90%)、水様便(90%以上)と分類されます。下痢の症状が3日以上続く場合、単なる一過性の不調ではなく、何らかの病気のサインかもしれません。

下痢が続くと、脱水症状を引き起こしたり、体調不良の原因になったりします。特に高齢者や子どもは注意が必要です。また、下痢に加えて発熱や吐き気、体重減少などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

下痢が3日程度続く場合の主な原因

2~3日下痢が続いている場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。まず思い当たるのは、食べ過ぎや飲み過ぎ、食あたりです。これは下痢の原因として最も一般的なものです。

また、感染性胃腸炎も短期間の下痢の主な原因となります。ウイルスや細菌への感染によって胃腸が炎症を起こしている状態で、発熱や腹痛を伴うことがあります。

私の臨床経験では、キャンピロバクターという細菌が検出されることもしばしばあります。症状は軽いものから中等度まで、発熱のないものから39℃も出るものまで、また下痢も数日から10日間くらいとまちまちです。

このような細菌は本来そう毒力が強いものではありません。したがって、症状が発生した直前に食べたものが原因というよりは、2-3日前から1週間前に食べたものが原因ということもあるようです。

さらに、薬の副作用によって腸が炎症を起こし、下痢になることもあります。特に抗生物質は腸内細菌のバランスを崩し、下痢を引き起こすことがあります。

これらの原因による下痢は、安静、薬物療法、薬剤の変更によって、比較的短期間での症状改善が期待できます。

しかし、下痢が2日以上続く場合は、単なる食あたりではなく食中毒の可能性も考えられます。特に水のような下痢が続く場合は、医療機関を受診することをお勧めします。

1週間以上続く下痢の場合に考えられる病気

下痢が1週間以上続く場合は、より慎重な対応が必要です。多くの下痢は1週間以内に治りますが、症状が1週間以上続く場合や下痢と便秘を繰り返す場合、重大な病気の可能性があります。

1か月以上続く下痢は「慢性下痢」と呼ばれ、以下のような病気が疑われます。

過敏性腸症候群

精神的ストレスなどが原因で3か月以上にわたって、月に3日以上の腹痛や腹部の不快感がある状態です。ストレスや自律神経の乱れによって腸の働きが低下し、下痢・便秘などの症状をきたします。

過敏性腸症候群の特徴は、数ヶ月にわたって腹痛に悩まされたり、おなかの張りが続いたり、定期的に便秘と下痢を繰り返したりすることです。環境の変化などストレスで症状が出たり悪くなったりすることが特徴で、検査をしても、腸の壁の荒れやポリープなどの異常は見つかりません。

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病などが含まれます。遺伝的要素などによって大腸粘膜にびらんや潰瘍が生じ、下痢、腹痛などの症状をきたします。

潰瘍性大腸炎では、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、粘膜がただれたり潰瘍ができたりします。長期間お腹の痛みや下痢が続くことや、粘液や血液が混じった便が出ることもあります。

クローン病は、口から肛門までの消化管が炎症を起こし、びらんや潰瘍が生じます。腹痛や下痢に加えて、血液や粘液が混ざった便が出ます。

その他の疾患

虚血性腸炎は、大腸の血管性病変によって血流障害が生じ、下痢や腹痛などの症状をきたします。中高年に多い病気です。

大腸がんは、主に生活習慣の乱れによって生じ、進行すると下痢・便秘、下血などの症状をきたします。初めは何も症状がなく、気づかれにくいがんです。進行して大きくなると、便秘気味になったり下痢と便秘をくり返すようになったり、便に血が混じる、便が細くなる、体重が減ったといった症状が出たりします。

また、大腸以外の病気として慢性膵炎も下痢の原因となることがあります。膵臓で炎症が繰り返される病気で、血糖値を下げるインスリン、脂肪・タンパク質を分解する消化酵素が十分に機能せず、消化吸収が阻害されます。

これらの病気は原因となっている疾患の治療が必要です。大腸に生じる疾患については、大腸カメラ検査で発見できます。

下痢が続く時に注意すべき危険信号

下痢の症状があっても、すぐに重大な病気と結びつけて考える人は多くありません。しかし、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

受診を検討すべき症状

下痢だけでなく吐き気や嘔吐がある場合、下痢だけでなく熱もある場合、急に激しい下痢が出るようになった場合は注意が必要です。

特に便に血が混じっている場合は、消化管のどこかで出血が起きている可能性があります。便の色によって出血部位のおおよその目安が異なります。鮮やかな赤い便は肛門や直腸など肛門に近い大腸からの出血、暗赤色の便は奥側の大腸や小腸からの出血、黒っぽい便(タール便)は胃や十二指腸など上部消化管からの出血の可能性があります。

また、下痢とともに脱水症状がある場合、便を出した後も腹痛がある場合、時間が経過しても改善せずむしろ悪化している場合も早めに医療機関を受診してください。

さらに、体重が減ってきている場合や、軟便や細い便しか出ない場合も注意が必要です。これらは大腸がんなどの重大な疾患のサインである可能性があります。

下痢が続いておしっこが出ない、水分が取れていない、動けない、呼びかけに応じないといった症状がある場合は、危険な状態になっている可能性があるので救急車を呼んでください。

あなたは一人で悩んでいませんか?下痢の症状で悩んでいるなら、いつでも医療機関を受診してOKです。

無理に我慢する必要はありませんし、「何もなければ安心できる」と思って気軽に相談していただいて大丈夫です。なかには重大な病気が隠れているケースもあるため、特に注意すべき下痢の特徴を知っておくことが大切です。

下痢が続く時の検査と治療

下痢が続く場合、どのような検査や治療が行われるのでしょうか。まずは問診で便の形や臭い、色、暴飲暴食、食中毒の有無などを確認します。

主な検査方法

血液検査では、炎症や貧血、ミネラルバランスの異常などを確認します。便検査では、細菌やウイルス、出血の有無などを調べます。腹部エコー検査では、腸の動きや他の臓器の状態を評価します。

炎症性疾患が疑われる場合、大腸カメラ検査で大腸全体の粘膜を調べ、組織を採取して病理検査を行います。大腸カメラ検査は、鎮痛剤を投与してリラックスした状態で受けることも可能ですので、ご安心ください。

当院では、半分眠ったような状態となる鎮静剤を使用することで、痛みや恐怖をほとんど感じなくなります。体感としても「あっという間」に検査が終えられますので、以前の検査が苦痛だった、初めてなので不安という方も、安心してご相談ください。

治療方法

下痢の治療は原因によって異なります。感染性腸炎の場合は、水分補給と必要に応じて抗菌薬を使用します。炎症性腸疾患(IBD)の場合は、専門的な内服・点滴治療を行います。過敏性腸症候群(IBS)の場合は、腸の運動調整薬やストレスケアを行います。薬剤性の下痢の場合は、内服の見直しや変更を行います。

下痢になると脱水症状や栄養失調になりやすくなります。そのため、水分・栄養補給を意識的に行う必要があります。特に高齢者や子どもは注意が必要です。また、お腹を温めてリラックスし、刺激物の摂取を避け、消化の良いものを摂るようにしてください。

当院では下痢の回数が多く脱水がみられる場合や、吐き気のために水分摂取が困難な場合はすぐに点滴をします。500mlの水分にカロリーと塩分、カリウムを含む内容にします。患者さんは来院時はぐったりしていますが、点滴が終わる頃にはかなり元気になります。脱水というのは怖いものです。

下痢止めについては、下痢便の中には多数の細菌が含まれているため、どんどん下痢をした方がいいのです。大量の水分をとって、どんどん下痢をしたほうが早く治ります。人間が食中毒の時に下痢をするというのは治療の第一歩、とても合目的な防御作用なのです。ですから下痢止めなど禁忌です。

ただし大量の下痢により脱水以外に電解質を大量に失われるので、この補給が重要です。スポーツドリンクがベストです。その他としては、胃腸には固形物は入れないほうが良いでしょう。消化する能力を失っている時に食物が入ってきては、胃腸は悲鳴を上げてしまいます。結果として下痢の回数が増えることになります。牛乳も禁止です。

すこし症状が落ち着いてきたら、少量のおかゆ、うどんなどから食べ始めてよいでしょう。

まとめ:下痢が続く場合の対処法と受診の目安

下痢は多くの人が経験する症状ですが、続く場合は注意が必要です。下痢が3日以上続く場合は、単なる一過性の不調ではなく、何らかの病気のサインかもしれません。

2~3日続く下痢の主な原因は、食べ過ぎや飲み過ぎ、感染性胃腸炎、薬の副作用などです。これらは比較的短期間で改善することが多いですが、水のような下痢が2日以上続く場合は医療機関を受診することをお勧めします。

1週間以上続く下痢の場合は、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、虚血性腸炎、大腸がんなどの可能性があります。これらは専門的な検査と治療が必要です。

特に注意すべき症状としては、下痢に加えて発熱や吐き気、便に血が混じる、脱水症状がある、体重が減少している、などがあります。これらの症状がある場合は早めに医療機関を受診してください。

下痢の治療は原因によって異なりますが、水分・栄養補給を意識的に行い、お腹を温めてリラックスし、刺激物の摂取を避けることが基本です。

「こんなことで受診していいのかな?」と思わず、どうぞお気軽にご相談ください。当院では消化器専門医が一人ひとりの症状に丁寧に向き合い、安心して検査・治療を受けていただける体制を整えています。

下痢が続くとき、我慢するより”安心のために調べる”という選択肢を考えてみてください。それが自分の健康を守る第一歩になります。

詳しい情報や診療時間、予約方法については、石川消化器内科・内視鏡クリニックのホームページをご覧ください。皆様の健康管理を誠心誠意サポートいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

著者情報

石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)

経歴

平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院

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