コラム

2025.09.23

内視鏡検査の不安を解消する7つのポイントと体験談

内視鏡検査への不安を抱える患者さんの声

「内視鏡検査は痛いんじゃないか」「検査中に吐き気が止まらなくなったらどうしよう」

私が消化器内科医として診療を行う中で、このような不安の声を日々耳にします。内視鏡検査は消化器疾患の早期発見・早期治療に欠かせない重要な検査です。しかし、多くの方が検査に対して強い不安や恐怖心を抱いているのが現実です。特に初めて検査を受ける方は、想像だけで恐怖が膨らんでしまうことも少なくありません。

実は、内視鏡検査に対する不安は、適切な知識と準備によって大きく軽減できるのです。当院では年間数千件の内視鏡検査を実施していますが、検査後に「思ったより全然楽だった」という感想をいただくことがほとんどです。

内視鏡検査に対する主な不安とその実態

内視鏡検査に対する不安には、いくつかの共通したものがあります。まずは、それらの不安と実際の状況を見ていきましょう。

最も多いのは「痛みや苦しさへの不安」です。口や鼻からカメラを挿入する胃カメラや、肛門から挿入する大腸カメラは、体の中に異物が入るという点で不安を感じるのは当然です。

次に多いのは「吐き気や嘔吐反射への不安」です。特に口から挿入する胃カメラでは、のどの奥に内視鏡が触れることで反射的に吐き気を催すことがあります。この反応は誰にでも起こりうるものですが、その強さには個人差があります。

また、「検査結果への不安」も見逃せません。「何か悪い病気が見つかったらどうしよう」という不安から検査自体を避けてしまう方もいらっしゃいます。

大腸内視鏡検査では特に「下剤の服用への不安」が大きいようです。検査前日からの食事制限に加え、当日は多量の下剤を飲む必要があるため、その準備に対する心理的ハードルが高いと感じる方が多いのです。

内視鏡検査の不安を解消する7つのポイント

では、これらの不安を解消するための具体的なポイントを7つご紹介します。

1. 鎮静剤の活用で検査中の苦痛を大幅に軽減

当院では、患者さんの希望に応じて鎮静剤を使用した「無痛内視鏡検査」を実施しています。鎮静剤を使用すると、半分眠ったような状態で検査を受けることができるため、痛みや恐怖をほとんど感じることなく検査が可能です。

「検査中に何も覚えていない」「あっという間に終わった」という感想をいただくことが多いです。鎮静剤の使用は、内視鏡検査への不安を解消する最も効果的な方法の一つと言えるでしょう。

ただし、鎮静剤の使用には注意点もあります。検査後しばらくは車の運転ができないため、公共交通機関を利用するか、ご家族に送迎をお願いする必要があります。

2. 経鼻内視鏡で嘔吐反射を軽減

口からではなく鼻から細い内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡」も選択肢の一つです。経鼻内視鏡は喉の奥を通らないため、嘔吐反射が起こりにくく、検査中に会話もできるというメリットがあります。

経鼻内視鏡は口からの内視鏡に比べて細いため、挿入時の違和感が少ないと感じる方が多いです。ただし、鼻腔の構造によっては挿入が難しい場合や、鼻の痛みを感じることもあります。

3. 最新の内視鏡機器による検査時間の短縮

医療技術の進歩により、内視鏡機器も日々進化しています。当院では最新の拡大内視鏡を導入し、短時間で精度の高い検査を実現しています。

検査時間の短縮は患者さんの負担軽減に直結します。胃カメラであれば通常5〜10分程度、大腸カメラでも15〜30分程度で終了することがほとんどです。

最新の内視鏡機器は、特殊な光によって粘膜の微細な変化まで観察できるため、より早期に病変を発見することが可能になりました。これにより、検査の精度を落とすことなく、患者さんの負担を軽減できるのです。

4. 検査前の適切な説明と心理的準備

不安の多くは「未知のものへの恐怖」から生まれます。検査の流れや起こりうる感覚を事前に知っておくことで、心理的な準備ができ、不安が軽減されます。

当院では検査前のカウンセリングを丁寧に行い、患者さん一人ひとりの不安に寄り添うよう心がけています。質問には何でも答えますので、疑問点や不安なことがあれば、遠慮なくお尋ねください。

どうですか?検査に対する不安は少し和らぎましたか?

5. 大腸内視鏡検査前の下剤選択と服用方法の工夫

大腸内視鏡検査では、腸内をきれいにするための前処置が必要です。従来は大量の下剤を短時間で飲む必要がありましたが、最近では飲みやすい下剤も増えています。

当院では患者さんの状態に合わせて、錠剤タイプや少量高濃度タイプなど、様々な下剤を用意しています。また、下剤の服用方法も工夫することで、負担を軽減できます。例えば、冷やして飲む、レモン汁を加える、間隔を空けてゆっくり飲むなどの方法があります。

前処置は検査の精度に直結する重要なステップです。きちんと行うことで、検査がスムーズに進み、見落としのない正確な診断が可能になります。

6. 検査当日の環境づくりと心のケア

検査当日は、リラックスできる環境づくりも重要です。当院では、待合室から検査室まで、落ち着いた雰囲気を心がけています。

検査中は医師や看護師が常に声かけを行い、患者さんの状態に配慮します。少しでも苦しいと感じたら、遠慮なくお伝えください。検査を一時中断したり、姿勢を調整したりすることも可能です。

また、検査中にリラックスするためのコツとして、深呼吸を意識する、好きな景色や音楽を思い浮かべるなどの方法もあります。

7. 検査結果の丁寧な説明と今後のフォロー

内視鏡検査後は、結果について丁寧に説明することも重要です。当院では検査直後に、撮影した画像を見ながら所見を説明し、患者さんの疑問にお答えしています。

もし何らかの異常が見つかった場合でも、早期発見であれば治療の選択肢は広がります。不安に思われることがあれば、どんな小さなことでもご相談ください。

また、定期的な検査が必要な場合は、患者さんの生活スタイルに合わせた検査計画をご提案します。継続的なフォローアップで、健康を長く維持していただくことが私たちの願いです。

内視鏡検査を受ける際の準備と心構え

最後に、内視鏡検査を受ける際の準備と心構えについてお伝えします。

胃カメラ検査の準備

胃カメラ検査は、基本的に空腹状態で行います。検査当日の食事は控え、水やお茶などの水分も検査の2時間前までにしておきましょう。

また、血圧や心臓の薬を服用されている方は、少量の水で服用していただいて構いません。不安な場合は事前に医師にご相談ください。

当日は楽な服装でお越しいただくと良いでしょう。ネックレスやネクタイなど、首周りを締め付けるものは避けてください。

大腸カメラ検査の準備

大腸カメラ検査では、前日からの準備が必要です。検査前日の昼食までは普通に食べられますが、夕食は消化の良い「低脂肪・低繊維」の食事を摂り、夜8時頃までには済ませておきましょう。

検査当日は、指定された下剤を決められた時間に飲み、腸内をきれいにします。下剤の効果で何度もトイレに行く必要がありますので、検査当日は外出予定を入れないようにしましょう。

水分は下剤服用後も摂取できますが、検査の2時間前には控えてください。

まとめ:内視鏡検査は怖くない

内視鏡検査は、消化器疾患の早期発見・早期治療のために非常に重要な検査です。確かに不安や恐怖を感じる方も多いですが、現代の医療技術の進歩により、以前よりもずっと楽に受けられるようになっています。

鎮静剤の使用、経鼻内視鏡の選択、最新機器による検査時間の短縮など、患者さんの負担を軽減するための選択肢が増えています。また、検査前の丁寧な説明や心理的なサポートも、不安解消に大きく役立ちます。

当院では、患者さん一人ひとりの状態や希望に合わせた内視鏡検査を提供しています。「検査が怖い」「以前つらい思いをした」という方こそ、ぜひ一度ご相談ください。

健康維持のためには定期的な検査が大切です。内視鏡検査への不安を乗り越え、ご自身の健康を守るための第一歩を踏み出してみませんか?

詳しい情報や予約については、石川消化器内科・内視鏡クリニックのウェブサイトをご覧いただくか、お電話にてお問い合わせください。皆様の健康維持のお手伝いができることを楽しみにしております。

 

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