コラム

2025.08.01

内視鏡検査の保険適用条件と自己負担額ガイド〜2025年最新情報

内視鏡検査とは?保険適用の基本的な考え方

内視鏡検査は、食道・胃・十二指腸や大腸などの消化管を直接カメラで観察する検査です。胃カメラや大腸カメラとも呼ばれ、消化器疾患の診断において非常に重要な役割を果たしています。

「内視鏡検査は保険が適用されるの?」「自己負担額はどのくらい?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

内視鏡検査の保険適用には、症状や検査目的によって大きく異なる条件があります。健康診断などの予防目的と、症状がある場合の診療目的では、適用される保険制度や自己負担額が変わってくるのです。

当院でも多くの患者さんから保険適用に関するご質問をいただきます。この記事では、2025年最新の内視鏡検査における保険適用条件と自己負担額について、医師の立場から詳しく解説していきます。

保険診療と自費診療の違い〜内視鏡検査の場合

内視鏡検査を受ける際、保険診療と自費診療の2つの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、まずはその違いを理解しましょう。

保険診療とは、健康保険が適用される診療のことです。何らかの症状があり、医師が必要と判断した場合に適用されます。一方、自費診療は健康保険が適用されず、検査費用の全額を自己負担する診療形態です。

「なぜ自費診療を選ぶ人がいるの?」と思われるかもしれません。

実は、症状がなく単に健康確認のために受ける人間ドックや健康診断の一環としての内視鏡検査は、原則として保険適用外となるのです。また、保険診療では制約がある一方、自費診療ではより自由度の高い検査が可能な場合もあります。

私の臨床経験から言えば、多くの患者さんは保険診療を希望されますが、定期的な健康管理として自費での検査を選ぶ方も少なくありません。

以下の表で、保険診療と自費診療の主な違いをまとめてみました。

  • 保険診療:何らかの症状がある場合や、医師が必要と判断した場合に適用
  • 自費診療:症状がなく健康確認目的の場合や、保険適用外の検査方法を希望する場合
  • 費用負担:保険診療は3割負担(年齢により1〜2割の場合も)、自費診療は全額自己負担
  • 検査内容:保険診療は保険で認められた範囲内、自費診療はより自由度が高い場合も

どちらを選ぶべきかは、ご自身の健康状態や目的によって異なります。症状がある場合は、まずは保険診療での受診をお勧めします。

内視鏡検査が保険適用される条件【2025年最新】

2025年現在、内視鏡検査が保険適用される条件は明確に定められています。主な条件をご紹介します。

まず、保険適用の大前提として「医学的必要性」があることが重要です。具体的には以下のような場合に保険適用となります。

症状がある場合

腹痛、胸やけ、嘔吐、下血、便通異常など消化器系の症状がある場合は、医師の判断により内視鏡検査が保険適用となります。当院でも、こうした症状を訴える患者さんには積極的に内視鏡検査をお勧めしています。

「症状が軽いから我慢しよう」と思われる方もいますが、早期発見・早期治療のためにも、気になる症状があればためらわずに受診されることをお勧めします。

検査結果で異常が見つかった場合

健康診断や他の検査で異常が見つかり、精密検査として内視鏡検査が必要と判断された場合も保険適用となります。例えば、胃部X線検査(バリウム検査)で異常陰影が見つかった場合や、便潜血検査で陽性となった場合などが該当します。

健康診断の結果をお持ちの方は、受診時に必ずご提示ください。医師の判断材料として重要です。

経過観察が必要な場合

過去に消化器疾患の治療歴がある方や、ポリープなどを指摘されている方の経過観察目的の内視鏡検査も、医師が必要と判断すれば保険適用となります。

当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切な検査間隔をご提案しています。定期的な経過観察は、病変の早期発見につながります。

年齢による条件

2025年度の各自治体のがん検診では、胃内視鏡検査は主に50歳以上を対象としています。例えば、戸田市では50歳以上の市民で、前年度に市の胃内視鏡検査を受けていない方が対象となっています。また、検診は2年に1回の頻度で受けることができます。

自治体によって対象年齢や条件が異なりますので、お住まいの地域の最新情報をご確認ください。

内視鏡検査の自己負担額はいくら?

内視鏡検査の自己負担額は、保険適用か自費診療か、また検査の種類によって大きく異なります。2025年現在の一般的な費用をご紹介します。

保険診療の場合の自己負担額

保険診療の場合、自己負担割合は年齢や所得によって1割から3割と異なります。一般的な3割負担の方の場合、おおよその自己負担額は以下の通りです。

  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):3,000円〜5,000円程度
  • 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ):5,000円〜8,000円程度

ただし、これはあくまで検査基本料の目安です。生検(組織採取)や処置を行った場合は、別途費用が発生します。また、鎮静剤(麻酔)を使用する場合も追加費用がかかることがあります。

当院では、患者さんの不安や苦痛を軽減するため、鎮静剤を使用した無痛内視鏡検査を提供しています。半分眠ったような状態で検査を受けることができるため、「辛い・苦しい」というイメージのある内視鏡検査のハードルを下げることができます。

保険診療の場合、高額療養費制度も適用されます。同月内の医療費が一定額を超えた場合、超過分が後日払い戻されるシステムです。

自費診療の場合の費用

自費診療の場合は、医療機関によって料金設定が大きく異なります。一般的な相場は以下の通りです。

  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):10,000円〜20,000円程度
  • 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ):20,000円〜40,000円程度

自費診療では、鎮静剤の使用や、より詳細な検査、当日の検査結果説明なども含まれていることが多いです。

費用面で不安がある場合は、事前に医療機関に確認することをお勧めします。当院では、検査前に費用の目安をご説明し、患者さんが安心して検査を受けられるよう配慮しています。

自治体のがん検診における内視鏡検査

各自治体では、がん検診の一環として内視鏡検査を実施しています。2025年度の最新情報をご紹介します。

自治体のがん検診は、一般的な保険診療よりも自己負担額が少なく設定されているのが特徴です。積極的に活用したい制度と言えるでしょう。

胃がん検診(内視鏡検査)

2025年度の各自治体の胃がん内視鏡検診の情報を見ていきましょう。

八王子市では、50歳以上の方を対象に、2年に1回の頻度で胃がん内視鏡検診を実施しています。自己負担額は3,080円です。西宮市の場合は、50歳以上の偶数年齢の方が対象で、個別検診の費用は3,800円となっています。

戸田市では、50歳以上の市民で前年度に市の胃内視鏡検査を受けていない方を対象に、自己負担金2,500円で検査を提供しています。定員は1,000人で、申し込みが必要です。

このように、自治体によって対象年齢や自己負担額、申込方法などが異なります。お住まいの地域の広報やホームページで最新情報をご確認ください。

大腸がん検診

大腸がん検診は、多くの自治体で40歳以上の方を対象に実施されています。ただし、一次検診は便潜血検査が一般的で、その結果で陽性となった場合に大腸内視鏡検査(精密検査)が推奨されます。

八王子市では大腸がん検診の自己負担額は880円、西宮市では600円(集団検診の場合)となっています。福岡市や戸田市でも同様に40歳以上の方を対象に大腸がん検診を実施しています。

便潜血検査で陽性となった場合は、必ず精密検査を受けることをお勧めします。早期発見・早期治療が大腸がんの予後を大きく左右します。

内視鏡検査の保険適用に関するよくある質問

内視鏡検査の保険適用について、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。

症状がなくても保険は適用される?

基本的に、症状がない場合は保険適用外となります。ただし、過去の検査で異常が見つかり経過観察が必要な場合や、家族歴などのリスク要因がある場合は、医師の判断により保険適用となることがあります。

症状がなくても定期的な検査を希望される場合は、自治体のがん検診や人間ドックの活用をご検討ください。

前立腺がん検査も同時に受けられる?

内視鏡検査と前立腺がん検査は別の検査ですが、同日に受けることは可能な場合があります。戸田市では、50歳以上の男性市民を対象に、前立腺がん検査(PSA検査)を実施しています。自己負担金は2,000円です。

ただし、前立腺がん検査は血液検査であり、内視鏡検査とは検査方法が異なります。医療機関や自治体の検診プログラムによって、同時実施の可否や費用が変わりますので、事前に確認することをお勧めします。

高額療養費制度は使える?

保険診療で内視鏡検査を受けた場合、高額療養費制度の対象となります。同月内の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が後日払い戻されます。

高額療養費制度の自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いが自己負担限度額までで済みますので、ご検討ください。

市民税非課税世帯は検診費用が免除される?

多くの自治体では、市民税非課税世帯や生活保護受給世帯の方は、がん検診の費用が免除される制度があります。例えば、八王子市や福岡市では、市県民税非課税世帯の人、生活保護受給世帯の人は、市の実施するがん検診が無料となります(証明書が必要)。

費用免除を受けるためには、予約前に市への申請が必要な場合もありますので、お住まいの自治体にお問い合わせください。

内視鏡検査を安心して受けるためのポイント

最後に、内視鏡検査を安心して受けるためのポイントをご紹介します。

内視鏡検査は「辛い・苦しい」というイメージがあるかもしれませんが、技術の進歩により、以前よりもずっと受けやすくなっています。当院では、患者さんの不安や苦痛を軽減するためのさまざまな工夫を行っています。

鎮静剤(麻酔)の活用

鎮静剤を使用することで、半分眠ったような状態で検査を受けることができます。痛みや恐怖をほとんど感じることなく、「あっという間」に検査が終わります。

当院では、患者さんの状態や希望に合わせて適切な鎮静を行い、できるだけ苦痛の少ない検査を心がけています。

経鼻内視鏡の選択肢

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は、口からだけでなく鼻から挿入する方法(経鼻内視鏡)も選択できます。経鼻内視鏡は、嘔吐反射が少なく、会話もできるため、口からの挿入に抵抗がある方に適しています。

当院では、経口・経鼻どちらの内視鏡検査も対応可能です。患者さんのご希望に応じて最適な方法をご提案しています。

検査前の適切な準備

検査の種類によって、事前の準備が異なります。上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の場合は検査前の絶食、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)の場合は腸管洗浄が必要です。

医師や看護師の指示に従って適切な準備を行うことで、より正確で安全な検査が可能になります。不明点があれば、遠慮なくお尋ねください。

専門医による検査

内視鏡検査は、専門的な知識と技術を持った医師が行うことが重要です。日本消化器内視鏡学会の専門医資格を持つ医師による検査は、より安全で正確な診断につながります。

当院では、消化器・内視鏡専門医である院長が全ての診察、検査、検査結果説明を担当しています。安心して検査をお受けください。

まとめ:内視鏡検査の保険適用と自己負担額

内視鏡検査の保険適用条件と自己負担額について、2025年最新情報をご紹介しました。

内視鏡検査は、症状がある場合や医師が必要と判断した場合に保険適用となります。自己負担額は保険診療の場合、上部消化管内視鏡検査で3,000円〜5,000円程度、下部消化管内視鏡検査で5,000円〜8,000円程度が一般的です。

自治体のがん検診も積極的に活用したい制度です。胃がん内視鏡検診は主に50歳以上の方を対象に、2年に1回の頻度で実施されています。自己負担額は自治体によって異なりますが、一般的な保険診療よりも安く設定されています。

内視鏡検査は「辛い・苦しい」というイメージがありますが、鎮静剤の使用や経鼻内視鏡の選択など、患者さんの負担を軽減するための工夫が進んでいます。

消化器症状がある場合や、健康診断で異常を指摘された場合は、早めに専門医を受診することをお勧めします。早期発見・早期治療が、消化器疾患の予後を大きく左右します。

当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切な検査と治療を提供しています。内視鏡検査についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

詳細は石川消化器内科・内視鏡クリニックのホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。皆様の健康管理を誠心誠意サポートいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

著者情報

石川消化器内科・内視鏡クリニック
院長 石川 嶺 (いしかわ れい)

経歴

平成24年 近畿大学医学部医学科卒業
平成24年 和歌山県立医科大学臨床研修センター
平成26年 名古屋セントラル病院(旧JR東海病院)消化器内科
平成29年 近畿大学病院 消化器内科医局
令和4年11月2日 石川消化器内科内視鏡クリニック開院

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